オゾン層は紫外線から身を守ってくれる存在として知られていますが、オゾンそのものは光化学スモッグの原因になるなど、有害性を持っています。つまり、上空にオゾンがたくさんある分には良いのですが、地上にたくさんあると困るのです。昭和基地では、この地上オゾン濃度を観測しています。観測を行っている「清浄大気観測室」は人間活動の影響を避けるため、居住棟や発電棟から約500m離れた東部地区のはずれにあります。
今回は、観測装置の切り替えを行う準備として、2月から観測に使用していた装置とこれから観測に使用する装置に、一定濃度のオゾンガスを吸気させて、2つの装置が示す値に差がないかを確認しました。通常の観測では、建物の外から空気を取り込んで、その空気に含まれるオゾン濃度を測定していますが、これを「オゾンガス発生器」に繋ぎかえて一定濃度のガスを吸気させました。この作業は気象隊員が丸1日かけて行い、2台ともに順調であることが確認できました。
昭和基地のように人工的な汚染源の少ないところで観測を行うことで、地球規模の地上オゾン濃度を診断することができるのです。
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