昭和基地のまわりには、多くの氷山が浮いています。浮いているといっても、海は一面凍りついていますので、雪面から氷山が突き出しているかのようです。この氷山は、南極大陸の上に乗っている南極氷床がちぎれて海に流れ出したもので、何万年もかけて形成されたものです。このため、氷山の氷は何万年前もの空気を含んでおり、コップの水にひたすと、プチプチと空気の泡が音を立てて出てきます。
このように南極らしさ満点の氷山の氷はとても人気があり、小中学校などで行われる「南極教室」が行われる際には、実際に見て、触れる際に使用されます。この氷を、9日に隊員総出で取りに行きました。
氷山の周辺は雪が吹き溜まり、見えないクラック(氷の割れ目)などが多数あるため、まずフィールドアシスタント担当隊員が中心となり、氷を採取するのに適した氷山を事前に探しに行きました。その結果、昭和基地の北1kmほどの所に、安全に作業ができる氷山が見つかりました。
氷を持ち帰るためのダンボールを橇に積み、雪上車で運びます。1kmほどですので、隊員は歩いて行きます。氷山にたどり着くと、さっそくつるはしなどで氷を削っていきます。氷山の表面は、太陽の熱で夏は融けてしまうため、南極の空気が逃げてしいます。そのため、まず表面の氷を削り落としてから、空気のたくさん詰まった奥の方の氷を手に入れなければなりません。そうして手に入れた氷をダンボール箱に詰め、計量して橇に積み込んでいきます。3時間ほどの作業で合計3トンもの氷を手に入れることができました。
この氷山は高さ10mほど、周囲50mほどと小さめのものですが、遠くから見ると全く形は変わっていません。氷山の大きさをこんなところで実感しました。
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