昭和基地周辺の島や沿岸地域には、毎年この時期にアデリーペンギンが帰ってきて巣をつくります。海氷が緩んできた11月のある日、1羽、2羽と巣に向かう途中のペンギンが基地の近くに姿を見せ始めます。時には10羽以上で行進していることもあります。私達が彼らを見慣れた頃、11月15日前後と12月1日前後の2回、毎年営巣が認められる地域を中心に、ペンギンの数や巣の数を数える「センサス」が行われます。
アデリーペンギンは、ルッカリーと呼ばれる集団の繁殖地をつくります。そこへ隊員が交代でペンギンを数えにいきます。小さな集団では数えるのはさほど難しくありませんが、数百羽もいるところではなかなか大変です。それでも、冬の間は生き物の姿をみることがほとんどありませんでしたので、元気に鳴き交わしたり懸命に卵を守りあたためるペンギンたちに会いにいくことはとても楽しみなことです。
ルッカリーの近くには、ナンキョクオオトウゾクカモメも巣を作り、ペンギンの卵を狙っています。卵を取られてしまった親は気の毒ですが、ナンキョクオオトウゾクカモメもペンギンと同じように自分の巣を守ることに必死になっているのです。
このペンギンセンサスが終わると、越冬隊員の野外観測業務は概ね終了です。この後は自分たちの仕事をまとめ帰る準備と次の隊を迎える準備を始めます。
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