前日からの気温低下で予感はしていたものの、さすがにこの寒さは堪えます。呼吸をするたびに凛とした冷たい空気が喉を通り肺にまで流れ込み、鼻の中は凍る感触がします。53次隊として経験する最低気温の日の出来事です。何回か氷点下40度越えの寒さはありましたが、今日は過去50年以上にもわたる観測の中で記録に残る寒さとなりました。
この日の最低気温は−43.9度、最高気温が−34.1度となり、両方とも歴代第2位の記録となりました。一日を通して考えれば歴代の観測で一番寒かった日になるのではないかと思われます。こんな寒さの中でも観測は続けられています。
この日は氷山の向こうに蜃気楼が発生していました。冷たい空気の層が厚いため普段見る物よりもはっきりと、そして高さのある蜃気楼になりました。万里の長城を思わせるような大きな壁が遠くに出来上がっていました。
また、この寒さを使ってお湯花火の実験をしている隊員もいました。見た目も音も花火のように見える様は、大変興味深いものでした。
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