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昭和基地でブリザードが多数発生
2012年9月24日〜26日


外壁破損

 第53次隊の越冬開始(本年2月20日)以来、昭和基地には、25回(A級:3回、B級:12回、C級:10回)(10月4日現在)ものブリザードが来襲しています。これは、年間平均回数の25回を上回るペースです。

 瞬間最大風速50.5m/秒に達し、施設の一部に被害が出るようなブリザードも9月24日から26日にかけてありました。このブリザードでは、建物外壁の破損、デポジット用棚やコンテナの転倒、雪の吹き込みによる予備冷凍コンテナの動作停止、建物の屋根まで埋まるドリフト(雪の吹き溜まり)などの被害もありましたが、全て復旧しています。また、情報処理棟という建物では、屋外に固縛してあった暖房用燃料給油後の空のドラム缶8本が強風によって飛散し、衝突して出来たと思われる屋外燃料タンクの給油配管の亀裂からタンク内の暖房用燃料JP-5(灯油と同質の燃料)703リットルが漏出しました。幸い、被害現場周辺は積雪で覆われており、漏れた油のほとんどが雪に吸着されていたため、雪ごと空ドラム缶15本に回収でき、他への飛散はほとんど無く、また、地盤への漏油の浸透も認められませんでした。このブリザードによる建物被害等は、越冬生活ならびに観測活動に大きな支障はないものの、南極の自然環境の厳しさを再認識する出来事でした。

※ブリザードについて(気象庁の広報誌から抜粋)
昭和基地では、ブリザードの状況によって、A級、B級、C級に分類し、観測しています(表1)。

 ブリザードとは、もともとは北アメリカでの激しい吹雪の呼び名でしたが、南極の吹雪も同じ名で呼ばれています。

 ブリザードになると、風が強いばかりでなく、激しい降雪や吹き飛ばされる雪のため、視界が悪くなり、時には1m先すら見えないことがあります。

 昭和基地は、南極の中でも比較的暖かく風の弱い場所にありますが、それでも、1年間に平均で約25回、50日程度はブリザードになります。


橇が10m風下へ 危うく雪上車に接触


飛散したドラム缶


漏油回収作業


ドリフトを除雪した

 
 
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