隊員有志で結成したサッカークラブ「FCオングル」の紹介です。腕に覚えのある隊員が集まり夏期間から活動を始め、冬期に入っても天気の良い休日の日中にボールを蹴っています。3日前に極夜入りしているので太陽は昇りませんが、正午前後の数時間は屋外で活動できるくらいの明るさはあります。休日ですので朝食と昼食を兼ねた美味しいブランチを11時から食べ、その後、集合を呼びかけるアナウンスが館内放送で流れました。
普段は物静かな隊員が、いざ、サッカーとなると豹変して容赦なく身体を当ててきたり、得点を決められると本気で悔しがったりと、仲間の意外な一面を見ることができます。また、固く締まったデコボコの雪というピッチ(グラウンド)状態ですから、自慢の(?)テクニックを披露することが難しいのです。履いているのは防寒用の分厚いブーツですから、ボールをコントロールがうまくできません。結局、珍プレーの連続で、もちろんプレーすることは楽しいのですが、それ以上に可笑しな事ばかり起きます。
今でも、多くの南極の基地でサッカーは行われていることでしょう。南極でのサッカーは、スコットなどが活躍した”英雄の時代”から、主にイギリスの記録に数多く残っています。さすがにサッカーの母国です。なかでも有名なのは、シャクルトン隊が氷海に閉じ込められた時、後に海氷の圧力に押しつぶされて大破するエンデュアランス号を背景に、隊員達がサッカーに興じている様子を、同行した写真家フランク・ハリーが撮影した作品ではないでしょうか。
この日、偶然ですが、青色とオレンジ色のアウターを着ている隊員にチームが分かれたため、気持ちだけはそれぞれイタリアとオランダのナショナルチームになったつもりで、試合を行いました。結果は速攻から2点を先取したイタリアが、その後のオランダの猛攻を伝統の固い守備で凌ぎ、勝利しました!
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