二酸化炭素が増加すると地球が温暖化する、という話は皆さんもよく聞いたことがあると思います。しかし最近、高度10km以上の成層圏と呼ばれる領域で水蒸気が増加すると、地球が温暖化するということがわかってきました。そして、熱帯や中緯度域では、過去30年くらい成層圏の水蒸気量が増加していることが報告されています。ところが、南極では成層圏の水蒸気量を長期にわたって観測した例がありません。そこで、わたしたち第54次観測隊は、成層圏の水蒸気量を測定することができる水蒸気ゾンデという装置を昭和基地に持ってきています。
実は、昭和基地で毎日2回行っているラジオゾンデ観測(2013年3月26日エントリー)でも、上空の水蒸気量を測定しています。しかし、成層圏の水蒸気量は地面付近に比べてとても少ないので、より精度良く測定するため、水蒸気ゾンデには特殊なセンサーを積んでいます。54次隊では、この水蒸気ゾンデを用いた観測を3回実施する予定で、7月28日に第1回の観測が行われました。
南極上空の成層圏の水蒸気が増えているのか、減っているのか、そして地球温暖化に関係しているのかどうか、今後も観測を続けていくことで明らかになることでしょう。このように、南極観測隊はこれまで行ってきた観測を継続するだけでなく、新たな観測にもチャレンジしています。
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