ライダーと言われたら、皆さんは何を想像するでしょうか。仮面ライダーやナイトライダーなど、英語の『rider』を想像する人がほとんどでしょう。しかし、昭和基地でライダーと言えば、それは『lidar』のことです。これは、"Light Detection and Ranging"の略で、レーザー光線を使って大気を観測する装置の名前です。
昭和基地には2種類のライダーがあります。1つはマイクロパルスライダーで、比較的低出力で波長が523nmの緑色のレーザー光線を上向きに照射し、大気中の雲やエアロゾル(微粒子)によって散乱されて戻ってきた光を検出することで、高度20kmくらいまでの上空の雲やエアロゾルの分布を知ることができます。
もう1つはレイリーライダーと呼ばれるライダーで、出力の大きな355nmの紫外線のレーザーを上向きに照射し、大気中の分子によって散乱された光を検出することで、高度20-80kmの気温の分布を測ることができます。また、レイリーライダーは雲を観測することもできます。
マイクロパルスライダーの緑色の光は肉眼でも見ることができますが、レイリーライダーの光は紫外線のため、残念ながら目で見ることはできません。ただし、レイリーライダーの光が通っているところに目を持っていくと、失明の危険がありますので注意が必要です。
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