みずほ旅行は54次越冬隊の野外活動では最も長期間の旅行で、往復約3週間でみずほ基地を目指します。みずほ基地は昭和基地から南東約270km離れた標高約2200mの内陸に位置し、現在は無人です。
今回は宙空圏・気水圏分野観測、天文ドーム及びそり回収、ルート整備等の目的で、10月1日9時過ぎ、穏やかな天気のもと6名の隊員が昭和基地を出発しました。雪上車に各2名ずつ乗り込み、計3台を使用して移動しました。みずほ基地まではルート旗という目印の旗をハンディGPSを使用しながらたどります。約2km間隔で立てられており、雪で埋まって短くなっている場合はその都度立て直します。また、このルート旗の雪面から出ている長さを測る雪尺観測も同時にしながら進みます。
10月3日には地ふぶきにより、進行速度が遅くなりましたが、みずほ基地には当初の予定どおり10月7日に到着しました。みずほ基地到着後はさらに約30km離れたところに残置されていた天文観測用ドーム及び橇の修理、宙空圏分野観測の無人磁力計の設置、気水圏分野観測の雪尺網観測や無人気象計保守を実施しました。旅行中は1日3回簡易気象計により気象観測を実施しましたが、みずほ基地滞在中に最も低かった気温は-40.6℃でした。風速は常に10m/s程度あり、肌をさらしていると1時間も立たないうちに凍傷になってしまいます。そのため、外に出る際は顔も肌が出ないようフェイスマスクとゴーグルを着用します。
帰路はみずほ基地を10月12日に出発しましたが、16日からブリザードにより途中停滞を余儀なくされました。車間にはロープを張り、食事やトイレの際はロープをたどって移動しました。ブリザードが比較的収まった18日に再び移動を開始し、昭和基地には当初の予定より2日遅れた19日の昼過ぎに帰還しました。
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