大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 南極観測のホームページ

昭和基地NOW!!

 

大陸までのルートを確保せよ!

2014年4月14日

携帯GPSで現在位置を測定
携帯型GPSを活用し現在地の緯度・経度を記録します。記録したデータをもとに大陸までのルートマップが完成します。

昭和基地での越冬生活も2か月半が過ぎ、今後は南極大陸での観測業務も始まります。基地のある東オングル島から大陸へ移動するためにはオングル海峡を渡るしかありません。基地と大陸との最短距離は4kmほどですが、対岸が崖であるためその地点からの上陸はできません。そのため基地から約20km離れた傾斜の緩やかな「とっつき岬」を目指し「移動ルート」を毎年作っています。それではなぜ毎年「移動ルート」を作るのでしょうか?

秋から冬になる今の時期は海の表面が凍っています。氷の上(海氷上)は重い雪上車も走行できる程、厚い部分もあるのですが、一部の場所は潮の満ち干や風に氷が流されて亀裂(クラック)が生じ、まるで「海への落とし穴」のようなっているところもあります。さらにクラックが雪で覆われてしまうと目視だけでは判断ができません。そのため観測隊は年ごとに変化する安全な「移動ルート」を作るのです。

大陸への「移動ルート」は野外観測支援隊員が中心となって作成します。また他部門の隊員も安全な海氷行動をするために、安全講習会(座学・実技)を受講しルート工作の支援にあたります。

ルート工作は専用器具を用いて海氷の厚さやクラックの有無を調べるとともに、GPSやコンパスで場所を記録し、測定地点に旗竿を設置していきます。そしてそれらのデータを集計することにより「ルートマップ」が完成するのです。

タイドクラック
潮の満ち干によって発生するクラックです。

クラックの確認作業
海氷が雪に覆われるとクラックは目視できません。ゾンデ棒を使いクラックの有無を確認します。

海氷安全講習
野外観測支援隊員は他部門の隊員に対してルートの作成方法や海氷行動の注意・安全事項を座学・実技にて講義します。

旗竿製作
海氷上のルートには目印となる旗竿を設置します。竹にフラッグを取り付けた「旗竿」を製作します。

海氷の厚さを調べます
海氷にドリルで穴を開け海氷厚を測定します。重い雪上車も通れる場所を探します。

昼食
ルート工作は一日作業なので昼食は雪上車の中で食べます。

南極大陸に上陸
昭和基地のある東オングル島から南極大陸までのルートが完成しました。約20kmを3日かけて作成しました。

常に安全を心がけます
双眼鏡でルート全体を確認しています。海氷状況は常に変化しています。野外行動は緊張の連続です。

2014年4月14日の気象情報

天気 日の出 日の入 最高気温 最低気温 最大風速
7:51 16:48 -14.5℃ -19.5℃ 9.5m/s

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