大気の流れを追え!大型大気レーダーシステム稼働中
2014年12月2日
対流圏、成層圏のデータを解析し、風速を導出します。
昭和基地のある東オングル島を巡ると高さ3メートル程のアンテナが1000 本以上設置してある場所を見ることができます。実はこれらのアンテナ群は大気観測システムの一部を担っているアンテナです。
世界では地球規模の大気循環メカニズムを解明しようとさまざまな研究が行われています。特に南極の大気は人間活動から隔絶されているために地球の気候観測に適しているとともに、南極ではカタバ風、オゾンホール、夜光雲、オーロラなどの特異な大気現象が多く見られます。そのため昭和基地では、気球、大気光カメラ、レーザー、そして大気レーダーなどを用いた大気観測が実施されています。
この約1000本のアンテナを用いた大気観測システムは「大型大気レーダー(PANSY)」と呼ばれ、各アンテナに取り付けられた送受信機を一括制御することで、対流圏・成層圏、さらに中間圏の風の成分などを捉えることができます。また、このシステムを応用することにより、大気波動の作用や電離圏攪乱などさまざまな研究データを収集することが可能となります。
今回、昭和基地では1週間程度PANSYを本格稼働させた連続観測が行われました。この観測が軌道に乗ると、南極上空の大気の流れや、上空500kmの電離圏と呼ばれる領域のプラズマの振る舞いなどがわかるようになり、今まで知られていなかったデータを得ることができます。さらに既存の観測を組み合わせることにより、極域の大気を多元的に捉えて、極域科学そして地球の大気循環システムに新しい風をもたらすことができるかもしれません。私達越冬隊は、このような夢の実現のためにも、厳しい環境である南極において観測を継続しています。
PANSYエリアを北方面に望む
PANSYエリアを南方面に望む
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