美しい自然現象と真珠母雲
2015年7月25日
56次隊で初めて見る「極成層圏雲」
南極では美しい自然現象にたくさん出合うことができます。満天の星空にオーロラ、蜃気楼、サンピラー。そしてきょうはわたしたちが昭和基地に着いてからはじめて、「極成層圏雲」が発生しました。
通常の雲が高度10キロメートル以下の水蒸気が豊富な対流圏でできるのに比べ、「極成層圏雲」は高度20キロメートル付近の成層圏でできる、南極の冬に特有な雲です。そこは、冬期には気温がマイナス80℃くらいまで低下するので、乾燥していても、気体として存在する水蒸気や硝酸や硫酸が、液体や固体の微粒子に変化して雲を形成するのです。この微粒子は太陽の光を受けて虹色に輝きます。その色彩が真珠母貝であるアコヤガイの内側に似ていることから、「真珠母雲」とも呼ばれます。きょうの雲は1時間ほどで消えてしまいましたが、極地でしか見ることができない貴重な自然の美しさに、わたしたちはしばし心を奪われていました。
ところで、この美しい極成層圏雲は、オゾン層を破壊する原因となる物質を生み出します。そのため、この雲が発生すると、気水圏変動モニタリングの担当隊員や気象隊員はすぐに観測を始め、極成層圏雲をつくる微粒子の数や大きさ、高度分布を明らかにするための貴重なデータ収集に取り組みました。
天気 | 日の出 | 日の入 | 最高気温 | 最低気温 | 最大風速 |
晴一時曇 | 10:38 | 14:20 | -17.7℃ | -32.4℃ | 9.9m/s |