ArCS 北極域研究推進プロジェクト

国際共同研究推進

テーマ6
北極生態系の生物多様性と環境変動への応答研究

底曳トロール網で採集した魚類・底生生物 提供:平譯 享(北海道大学)

本テーマでは、地球温暖化とそれにともなう海氷減少に対する北極域における生物の応答や変化のメカニズム解明、低緯度域を起源とする汚染物質の北極域の生物への影響、生物多様性を保全するために必要な生物相の全容解明、生態系の構造、機能、生態系サービスなどの理解の深化といった目的を達成するために、ふたつの研究課題をおきました。すなわち、研究課題1:環境変動と人為的インパクトに対する北極海生態系の反応メカニズムの評価と研究課題2:北極生態系の生物多様性研究です。

研究課題1では、北ベーリング海陸棚域の高い生産力を維持するプロセスや、環境変化に対する海洋生物の応答(移動、シフト)について、過去の報告以上に詳しく理解することができました。また、汚染物質の影響も評価することができました。今後の環境の変化に対する予測を行うには、各プロセスについてより一層の理解を要しますが、いずれの成果も科学的に重要であると同時に、将来の北極海生態系保全と水産資源管理に関する意思決定の際に必要な知見となったと考えられます。

マルチネットによる動物プランクトン採集と観察 提供:山口 篤(北海道大学)

研究課題2では、さまざまな生物種を対象にした調査・研究により新たな知見が得られました。分野によっては北極圏植物相・動物相保存作業部会(CAFF)専門家グループのメンバーに加わり、ACへの貢献の一端を担うことができました。また、保全施策への提言の実施や先住民や日本国民への研究成果の情報提供を行うことにも注力できました。本テーマの実施により、現在の北極生物多様性の実態把握や生態系機能の解明を中心とする成果が得られましたが、今後も生物多様性の変化、連動する生態系の構造・機能の変化をより正確に把握し、メカニズムを解明することが必要です。

クジュアラピック(カナダ)の調査地 提供:金子 亮

テーマの背景や概要

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研究業績

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