2018年10月29~30日にかけて、北極評議会のSDWG定例会合がフィンランド議長国のもと、同国ロバニエミにて開催されました。16か国15機関から約90名が出席しました。会期中、SDWGプロジェクトの実施担当者より進捗状況についての報告がテーマ別に行われました。
教育分野において、初等教育及び教師育成の重要性が複数のプロジェクトにおいて確認されました。北方フォーラムの代表は、2019年春にサハ共和国に開校予定の職業訓練学校について紹介するとともに、SDWGのプロジェクトとして承認されることを望むとの意見表明がありました。
人的健康の領域では、Circumpolar Resilience, Engagement and Action Through Story プロジェクトは自殺防止の大切さについて報告しました。同プロジェクトは若者の間の自殺予防に取り組んでいます。各国及び常時参加者の代表はこの問題が非常に深刻であり、北極圏の内外のステークホルダーとのパートナーシップ強化のもと、この問題に取り組んでいく必要があることで一致しました。
不平等の是正、解消において、ジェンダー平等がまだ満足のいける状態になっておらず、引き続きこの取り組みがSDWGの中で優先的に取り組まれるべきであるとされました。
SDWGのテーマ別プロジェクトには含まれていなかったのですが、議長の提案により、UNEPとフィンランド政府系機関が循環型社会というコンセプトについての説明を行いました。議長は、循環型社会というのは今日のグローバルな課題であり、北極の文脈においては、観光、海運、鉱業が大切になると述べました。
これを実際にどうやって実施するかという点については、異なる見方が示されましたが、すべての参加者は、循環型社会という概念の重要性を確認しました。
他にも、SDWG会合の直後にSAO会合が予定されていたこともあり、AMAP、ACAP、EPPR作業部会の議長がSDWG会合に出席し、SDWGと連携していきたいとの意向を示しました。
大西富士夫(北海道大学/テーマ7実施担当者)
SDWGロバニエミ会合の集合写真
https://www.sdwg.org/meetings/rovaniemi-oct-2018/より転載