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貯水槽への雪入れ
2005年8月31日
 昭和基地の水事情については、ライフラインでも紹介されました。私たちが使う水は雪どけ水、あるいは降った雪をとかしたものなので、水や雪を貯めておく場所が必要です。荒金(あらがね)ダムと呼ばれる貯水池のほか、発電棟の近くには、1月22日に45次隊によって掃除が行なわれ、46次隊に引き継がれた貯水槽、通称130kl水槽、100kl水槽があります。

130kl水槽(昭和基地NOW! 「水槽掃除」(2005.1.22)より)

45次隊による130kl水槽の掃除の様子。おおいがないため、水槽の底には砂がたまります。ふつうは掃除だけですが、今年は破れたシートの張替えも行なわれました。

 130kl水槽にはおおいがないので、夏は砂ぼこりも入りますが、降ってきた雪をそのまま貯めることができます。水槽の雪が少なくなると、手作業で雪入れが行なわれます。今回は事情が少し異なり、ブリザード後の除雪を兼ねての雪入れでした。雪入れ前、130kl水槽はすっかり雪に埋もれ、発電棟(赤色の建物)は壁の高いところまで、雪のドリフト(吹きだまり)がついていました。
 ブリザードが到来すると、雪がたくさん降り、強い風が吹きます。雪は風によって飛ばされるので、どこでも同じように積もるわけではありません。建物や石などがあると、風上側ではそれらを迂回するような流れができ、近くの雪は削られてくぼみができます。それに対して風下側では、障害物をよけたあとで風が再び集まるような流れとなり、雪のドリフトが長くのびることになります。昭和基地付近では強い風はたいてい北東から吹きます。そのため、ドリフトも北東−南西方向にできています。
 130kl水槽が発電棟の風下側に置かれているのは、雪のドリフトによって効果的に雪を集めることができるという他にも理由があります。発電棟内の発電機から出される熱を利用して雪をとかし、そうしてできた水が水槽内で凍らないようにしているのです。水槽の右側に見える金属の管は、1本が水槽の水を吸い上げて発電棟へ運ぶため、もう1本が発電棟で温めた水を水槽に戻すためのものです。130kl水槽の水位は毎日、昼と晩の2回、設営系の隊員によって点検されています。水位やこれからの天候を考慮して、必要だと判断すれば水槽への雪入れ作業を行ないます。昭和基地での観測・生活は、自然の恵み・自然の仕組みを利用しながら、隊員一人一人が協力して作業することで支えられています。

 
8月31日の気象情報
天気 曇りのち一時ふぶき
日の出 07:45
日の入 17:01
最高気温 -8.5度
最低気温 -17.2度
平均気温 -13.0度
最大風速 30.3m/s
平均風速 10.5m/s
 
 
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