第50次南極観測隊では、宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency: JAXA)と宇宙と南極との共通点に着目した医学・生理学的共同研究を行うことを先日お話しました。(昭和基地NOW 3月21日版)
今回は、そのうちの「ハイブリッド電極刺激を使った筋肉トレーニング」が始まりました。重力のない宇宙環境では筋肉の萎縮が容易に生じるため、体力を維持する継続的な運動が必要とされます。南極も極夜の期間は室内に運動が限定されるため運動機会減少、食事過多等から体重増が懸念され、有効な運動トレーニング法が求められています。「ハイブリッドトレーニング」は、動作の最中に拮抗する筋肉を電気で刺激することによって筋の動作に負荷をかけ、トレーニングの有効性を高める方法です。
この電気刺激を用いたトレーニングを行い、筋力、体重、体脂肪、腹囲などを測定することにより効果を評価することが主な目的ですが、初回は刺激の有効性を比較するため電極刺激装置自体は使わずに行います。まず、単純なひざの曲げ伸ばし動作のみのトレーニングを8週間行い、その後に電極刺激装置で刺激を行いながら同様のトレーニングを行い、今回のデータと比較を行うことで有効性を検証します。有効性が確認できた暁には、越冬期間や宇宙空間長期滞在の際の運動不足の解消に役立つことが期待されます。 |