Arctic Environment Research Center

北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)がスタートしました

2020年6月17日

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所、国立研究開発法人海洋研究開発機構及び国立大学法人北海道大学は、文部科学省が公募を実施した環境技術等研究開発推進事業費補助金事業の北極域研究加速プロジェクト(ArCS II:Arctic Challenge for Sustainability II、プロジェクトディレクター:榎本浩之/国立極地研究所副所長・教授)に共同で申請しておりましたが、2020年4月13日に採択通知を受け、6月1日より我が国最大規模の北極域研究プロジェクトを開始しました。本事業の実施期間は2024年度末までです。

北極域は、脆弱な環境のもとでバランスしており、北極温暖化増幅に代表されるように、その一端の変化が複合的に連鎖して波及することがこれまでの研究で明らかになってきました。しかし、観測地域やデータは限られており、観測空白域を解消して正確な変化の実態を把握し、精緻で高精度な将来予測を実現することが求められています。また、環境の変化が社会に及ぼす影響を把握して対応策を提示していくことが急務であり、さらには環境の変化が先住民の権利や資源の開発・利用などローカルからグローバルな社会活動にも影響が及ぶことから、北極を巡る国際的な法政策的秩序の維持に我が国も関与することが重要となっています。

本プロジェクトでは、『我が国の北極政策』にある「研究開発」、「国際協力」、「持続的な利用」や、『第3期海洋基本計画』で謳う「北極をめぐる議論の主要なプレイヤーとして、広範な国際協力に基づく地球規模課題の解決」に貢献し、国連が提唱するSDGsも踏まえた持続可能な社会の実現に不可欠な知見を積極的に提供していきます。こうした北極研究に対する社会の要請に応えるため、本事業で達成すべき下記の「プロジェクトゴール」を念頭に、4つの戦略目標と2つの重点課題を設定し、それに必要な研究基盤を整備します。

我が国の北極域研究者等と協力して変わりゆく北極における諸課題に取り組み、さらに、海外の研究者とも連携して研究体制を構築し、望ましい北極に向けて研究を加速させ、国内外のステークホルダーへ戦略的に情報を届けていきます。

プロジェクトゴール

持続可能な社会の実現を目的として、北極域の環境変化の実態把握とプロセス解明、気象気候予測の高度化などの先進的な研究を推進することにより、北極の急激な環境変化が我が国を含む人間社会に与える影響を評価し、研究成果の社会実装を目指すとともに、北極における国際的なルール形成のための法政策的な対応の基礎となる科学的知見を国内外のステークホルダーに提供します。

プロジェクトの全体像

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所
国立研究開発法人 海洋研究開発機構
国立大学法人 北海道大学

文部科学省の審査結果:
https://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/kaiyou/jigyou/1354915_00001.htm

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 北極観測センター
〒190-8518 東京都立川市緑町10-3 (交通アクセス) / E-mail:aerc-kikaku@nipr.ac.jp