ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

北極海の海氷面積が史上2番目の小ささを更新する見込みです

北極海の海氷域は毎年9月中旬前後にその年の最小面積を記録します。JAXAの水循環変動観測衛星「しずく」の観測データによると、今年の年間最小面積は史上2番目の小ささを更新すると予測されます。北極域データアーカイブシステム(ADS)で公開している北極海氷面積のデータでは、今年の海氷面積が、9月に入り、これまで史上2番目に小さかった2007年の年間最小面積を下回っていることが確認できます。

海氷面積はその後も減少を続けていますが、史上もっとも小さくなった2012年の年間最小面積を下回ることはないと予想されます。「しずく」の観測データによる今年9月3日の海氷面積は405万㎞2です。2012年の最小面積が318万㎞2であることから、今後87万㎞2以上海氷域が減少すれば史上最小を記録することになります。しかし、9月における海氷域の最大減少面積は1991年に観測された45万㎞で、統計的な観点から今年もこれを超えることはないと考えられます。

ADSでは、「しずく」の観測データによる海氷面積の画像が毎日更新されています。今後の海氷面積の変化にもぜひご注目ください。

矢吹 裕伯/国立極地研究所・特任准教授(テーマ8 PI)

年ごとの北極海氷面積の変化を比較したグラフ(2016年9月8日現在)。今年の海氷面積が2007年の年間最小面積を下回ったことがわかります。

JAXAの衛星「しずく」の観測データによる2016年9月7日の北極海氷の画像。

年ごとの年間最小海氷面積を比較したグラフ。