ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

北極圏海鳥専門家グループ年次会合報告

北極圏海鳥専門家グループ年次会合(The Circumpolar Seabird Expert Group Annual Meeting)の第21回会合がデンマークの自治領であるフェロー諸島の首都トースハウンで3月7日〜9日まで開催されました。本グループは北極圏植物相・動物相保存作業部会(CAFF: Conservation of Arctic Flora and Fauna)のもとに1993年に設置された海鳥の調査・保全に関わる専門家グループで、CBird Groupという略称で呼ばれています。カナダ、デンマーク(フェロー諸島およびグリーンランドを含む)、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国のAC国に加え、英国、オランダ、日本のオブザーバー国から海鳥類の研究者・保全に関わる専門家計22名が参加しました。日本がCBird Groupに参加するのは今回が初めてです。

会合の冒頭、各国から前回会合以降の活動報告がなされました。その後、今回日本がオブザーバーとして参加することが議長から紹介され、私から北極域における日本の海鳥研究活動について発表を行いました。これに対して議長や参加各国のメンバーから日本のオブザーバー参加を歓迎し、今後の貢献に期待する旨が表明されました。その後、北極域の各種海鳥の個体群の現状の報告や保全計画、報告書「北極域における海洋生物多様性の現状」の海鳥に関する章の内容についての確認、CAFFで優先事項とされている渡り鳥保全についてのアクションプランにグループとしてどう貢献していくかなどについての議論が行われました。最終日にはフェロー諸島政府外務省主催の夕食会が開催されて会合は終了となりました。

CBirdでは、国の枠組みを超えて協力し海鳥の調査研究活動を行っていますが、北大西洋側で調査活動を行っている参加国が多い反面、太平洋側北極での調査活動は米国のみと、やや手薄になっています。日本は主に太平洋側北極で調査活動を行っており、北極圏全域の海鳥の変化をバランス良く理解するために、日本からの研究成果がCBird Groupにとって重要な貢献になりうると感じました。

次回会合はオブザーバー国の英国がホストとなって、2018年3月にケンブリッジで開催される予定です。

高橋晃周・国立極地研究所(テーマ6実施担当者)

CBird 会合の様子

会合会場からみたトースハウンの風景