ArCS若手研究者海外派遣事業の助成を受け、2018年1月29日から2週間、米国スクリップス海洋研究所/海洋物理グループ(受入研究者:Prof. Fiamma Straneo)を訪問しました。Straneo教授は、氷河が流入するフィヨルドの海洋構造に注目し、氷河の末端変動メカニズムについて、海洋物理の視点から先駆的な研究を行っています。訪問の目的は、私達が開発・実用化した観測技術を、Straneo教授と海洋物理グループの研究者らに紹介し、また観測で得た海洋物理データについて意見交換を行うことでした。私達が開発した観測技術は、観測が難しいカービング氷河(海や湖に流入する氷河)と海洋の境界において、氷と接する海の水温・塩分変化をモニタリングするというものです。氷が海中で融けると、周囲の海水温、塩分が低下します。そのため、氷と接する海の水温・塩分の変化は、氷河が夏の間、海水中でどの程度融けているかを知る手掛かりになります。
滞在期間中は、セミナー発表や個別の議論を行い、海洋物理データの解析手法や、データの解釈についてStraneo教授らに助言を求めました。またStraneo教授の研究グループで開発された数値モデルに、初期値として私達が得た海洋物理データを与えてシミュレーションしてもらい、氷と海水間の熱フラックスの計算結果を得ることが出来ました。議論を通じて解決すべき課題も見つかり、今後もStraneo教授の研究グループに協力を仰ぎ、メール等でやり取りをしながら課題解決に取り組んでいきます。
*詳細は終了報告書をご覧下さい。
漢那 直也(北海道大学/テーマ2実施担当者)