ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

北極域研究推進プロジェクト(ArCS)の終了にあたって

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20203月で、5年間続いてきた北極域の研究プロジェクトArCSが終了します。ArCSの大きな目的のひとつとして、北極の持続的な利用に関する議論で日本が主導的な立場を確保できるように、政策決定者や社会に十分な情報を与えることがありました。

このプロジェクトの代表者(director)を引き受けた時には、多くの人々にプロジェクトからの情報を受け取ってもらうには、北極から遠く離れたこの日本で、一般の人々に北極研究に興味を持ってもらうこと、さらに北極研究が持つ我が国にとっての重要性を知ってもらうのがとても大事なことと思いました。それと同時に科学者の研究の成果から社会に知らせるべき情報を作り出すには、安易に時流に流されることなく、基礎的かつバラエティに富んだ研究の継続とそれらの統合こそが重要と考えました。

この5年間、ArCSの研究者、事務担当者の皆さんの努力によって、上にあげた方向性はつらぬかれたと思います。その具体的な内容は、このブログや折々に発行したリーフレットなどを是非ご覧になってください。そして、こうした努力は、今年11月に北極科学大臣会合が東京で開催されること、北極研究船の建造への道が開かれたこと、さらには今年の夏前頃の開始(多分)を目指し、今よりも大きな予算規模でArCSに続く北極プロジェクトの公募プロセスが進んでいること、などに結実したと思います。

今後、北極での人間・社会、経済、国際協調等の活動が活発になるほど、日本が行う北極での総合的な研究の重要性は高まるでしょう。そして科学研究が、社会活動や政策決定に果たすべき役割も大きくなるでしょう。そういう将来を見据えた上で、北極での研究活動が科学として本来持つべき崇高さを失わず、着実に進展していくことを祈りたいと思います。

5年間、ご支援をありがとうございました。

深澤 理郎(ArCS PD)