みらい北極海航海チーム 観測便り

乗船研究者:菊地隆、西野茂人(JAMSTEC)、笹野大輔(気象研)、平譯享、日置菜々子、森田雄一朗、大木淳之、松野孝平、西沢文吾、夫津木亮介、武井信行、川崎修歩(以上北大院水産)、岩原由佳(北大院環境科学)、杉山健太郎、三船尊久(東京海洋大)、平山翔子(富山大)、山田洋輔(東京大気海洋研)、茂手木千晶(ラバル大学)、藤原周(極地研/北大院水産)、内宮万里央(極地研/東大大気海洋研)
クルー一覧(研究者+観測技術者)

オペレーション開始(2012.9.14〜17)

担当:菊地(JAMSTEC)

ブリッジから撮ったUSCGC BERTHOLF

アメリカ沿岸警備隊 USCGC BERTHOLF

9月14日 北緯67度59分、西経168度0分付近
気温 1.8度、水温 3.9度、塩分 28.8、天候 曇り時々小雪

昨日ベーリング海峡での観測をスタート。細かい間隔で観測を続けながら北上を始める。今朝、アメリカ沿岸警備隊の船舶 USCGC BERTHOLFに会い、ブリッジで交信、どのような調査をしているのかなど質問され応答されていました。その後、メールでも連絡があり、"I hope that your research goes well and that the weather cooperates!"とのこと。Thanks!
ちなみにこのあたりでは、海鳥も鯨もたくさん見られました。係留系(SCH)設置地点近くなので、帰路の回収が楽しみ。

海氷(の溶け残り)に遭遇

9月15日 北緯72度14分、西経168度44分付近
気温 -0.3度、水温 3.6度、塩分 31.0、天候 雪

JAXAさんから提供して頂いている衛星データを見ながら、海氷の溶け残りのようなものがこの先の進路にあるかもしれない...と話していたら、夜9時頃に海氷が溶け残ったものが散在しているところに出くわす。夜であるために遠くの状況を見ることができず、レーダーなどを見ながら注意をして航行しなければならない。海氷がないと思われる東側に少しコースをずらして、夜間はゆっくり航行して頂いた。
夜なので、海氷の写真が取れなかった...

船のSOJデータを示す画面
北緯76.0度です。ちなみにみらいの最北到達記録は北緯79.11度(2010年航海)。今年は大陸棚と陸棚斜面域が中心だったので、これより北には行きません。ちょっと残念。

後部操舵室でCTDオペレーション中
奥から順に本田さん(No.1 Oiler)、畳指さん(MWJ)、宮本さん(MWJ)。よろしくお願いします。

ブリッジから前方を撮影
波が3m程度あっても船が大きいので分かりにくいかも...

本航海の最北点

9月17日 北緯76度00分、西経174度01分付近
気温 -2.1度、水温 -0.4度、塩分 25.8
波高 3m強、天気 曇り時々雪

当初予定では、北緯75度13分、西経172度34分付近で係留系設置を含む観測作業を予定していたが、波が高いためこれを順延。その代わりに観測線を北に伸ばし、北緯76度までCTD観測を行う。夜8:30ころ、本航海で最北点となる海域に到達。水深約2100mでCTD/採水観測を行いました。

本航海の(北極海内での)最西端

9月18日 北緯75度14分、西経177度30分付近
気温 -0.9度、水温 0.0度、塩分 26.7
波高 3m弱、天気 曇り時々晴れ

昨日より天候は良くなったものの、海況(波)は変わらず高く、係留系設置やマルチコア作業はできない。代わりに、観測線を今度は西に伸ばして西経177.5度まで行き、CTD観測を行う。海氷に覆われていたころの北極海は波を海氷が抑えるので荒れない海だったのですが、海氷がなくなって荒れる海になったようです。明日は海況が良くなりますように。