北西航路観測チーム 観測便り

バフィン湾に向けて北上(2012.7.23)

現在地:カナダ・ラブラドル海(北緯61度33分、西経58度30分)

チームメンバー:山口一(東京大学)、柴田啓貴(北見工大)

船首スラミングによる飛沫

我々の乗船しているルイサンローラン号はカナダ沿岸警備隊に所属する最強クラスの砕氷船である。1969年建造の古い船だが、1990年代初頭に、殆ど造り替えとも言える大改装をしている。旧しらせと同じ3軸1舵、ディーゼル電気AC-DC推進システムである。大きさ、軸馬力とも旧しらせより若干小さい。

観測チームは日本から2名、カナダから3名。日本チームは海氷観測と船体運動、海水飛沫の計測、カナダチームは2名が海洋観測、1名が生物観測。

観測チームと乗員以外に、士官学校の学生数名とその教員が実習のために乗船している。彼らも、我々同様クグルクツクで下船する。

7月21日(土)〜23日(月)

出港翌日の21日朝9:30からの船長ミーティングで、レゾリュートからカナダの要人4名が乗船してくることを知らされた。初耳なのでびっくりした。

20日夜から波高く、大きく揺れている。砕氷船なので波浪中の揺れは大きい。しかも揺れの方向が不規則に変化するので、倒れない様に踏ん張るのが大変である。大きな揺れの中、クグルクツク以降も含めた観測用荷物の確認、機器準備と打合せ、既に計測を始めた機器のデータ取得などに追われる。加えて、避難訓練や連夜の北極圏突入記念イベントなどで随分と忙しい。一方船は、波を避けて入り江に入って機器整備をしたりして、ゆっくりと北上している。もうすぐバフィン湾の入口、デービス海峡に差し掛かる。