ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

ブラックカーボン及びメタンに関する第1回AC専門家会議報告

ブラックカーボン及びメタンに関する第1回AC専門家会議が2016年1月27, 28日にアイスランドのレイキャビクで行われました。

アメリカ、カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、AAC, ACAP, フランス、イギリス、イタリア、日本、ポーランド、韓国、スペイン、EU、ACから28名が参加し、日本からは、国立極地研究所の近藤 豊(特任教授)が出席し討議に参加しました。この会議の主目的は「ブラックカーボン、メタンの排出削減に関するこれまでの知見・理解のまとめと、AC国を中心とする削減実施の勧告を含む内容の報告書(Summary of Progress and Recommendations)」を取りまとめることでした。この文書を作成するという点においては、参加者の合意に達しました。最終的には2017年4月のArctic Council Ministerial MeetingにSAOが各国大臣に報告書を提出できるように、今後の日程が予定されています。会議では文書の形式や内容について詳細な議論がなされました。AC国やオブザーバー国の役割についての議論も、項目ごとに行われました。削減に関するオブザーバー参加国の責務については今後の議題とされました。

会議を通して、私は以下のような意見を述べました。

  • ブラックカーボン、メタンの排出削減に関する報告書を準備すること自体は賛成し、日本としても報告書の準備に協力したい。
  • ブラックカーボン、メタンの排出削減に関する報告書を準備するにあたって、それらの成分が北極の気候に与える影響の信頼性のある評価のための科学的研究の重要性と、それを推奨することを十分に考慮すべきである。
  • ブラックカーボンの排出量の統計の基礎に、燃焼する炭素燃料と、排出されるブラックカーボンの比率が用いられている。この比率はどのような測定データを用いているか、その測定の信頼性といったことを明らかにすべきである。排出量の統計を今後各国が報告する際、この点の整合性をとる必要がある。

イタリアからの参加者からも、同様な発言がありました。

最後に、アイスランドの日本大使館の方々には、滞在中大変お世話になりました。アイスランドの国情についても詳細なご説明を頂き、北極域の理解に大いに役立ちましたことを改めて感謝します。



近藤 豊/国立極地研究所・特任教授(テーマ3 実施担当者)