ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

GRENE北極気候変動研究事業・北極域研究推進プロジェクト公開講演会「北極温暖化の実態と影響 -何がわかったか、これから何をするのか―」開催報告

GRENE北極気候変動研究事業(GRENE北極)と北極域研究推進プロジェクト(ArCS)の共同公開講演会を 2016年3月5日(土)に品川のコクヨホールで開催しました。本講演会では、GRENE北極で「何がわかったか」、ArCSで「これから何をするのか」について、講演とパネルディスカッションを通じて研究者と参加者が意見を取り交わし、北極で起こりつつある変化と日本の北極研究を考えるまたとない機会となりました。

 2016年3月末に終了を迎えるGRENE北極が、プロジェクトの総まとめとして、山内恭プロジェクトマネージャ(国立極地研究所)による事業概要と研究成果のアウトライン紹介、そして2つの代表的な研究成果の発表やパネルディスカッションを行ったのに対し、2015年9月に始まったばかりのArCSでは、まず深澤理郎プロジェクトディレクター(国立極地研究所/海洋研究開発機構)が「日本の北極研究の今後のかたち」と題した講演で、プロジェクトの背景、実施メニュー、運営体制といった概要を説明しました。科学研究で得られた知識を社会へ向けて正しく発信することなど、今後いっそう注力する点についても紹介され、従来の北極研究プロジェクトとは異なるArCSの特色が示されました。

 続けて、科学ジャーナリストの瀧澤美奈子氏、GRENE北極の講演を行った山口一氏(東京大学教授)とともに、深澤プロジェクトディレクター、榎本浩之サブプロジェクトディレクター(国立極地研究所)、河野健サブプロジェクトディレクター(海洋研究開発機構)、齊藤誠一サブプロジェクトディレクター(北海道大学)が 「これから何をするのか」のパネルディスカッションを展開しました。北極域に対する関心が高まる国際情勢の俯瞰に始まり、北極域の持続的発展に向けた政策が求められる現在だからこそ、政策決定に資する科学知識の提供やデータ取得が重要だという考え、また、非北極圏国ならではの中立的な立場を活かしてプレゼンスが発揮できるという日本の強みの確認など、科学研究と社会とのかかわりをテーマに持つArCSにふさわしく、北極域をめぐる動きを広い視点でとらえた、興味深い話の展開となりました。

 本講演会には研究者から会社員、学生といった幅広い層から231名の参加があり、北極研究の新たな展開とともに積極的な情報発信への期待などが寄せられました。

ArCS事務局

IMG_4968r.jpg深澤PDの講演

IMG_5025r.jpg ArCSパネルディスカッション