ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

CEN Whapmagoostui-Kuujjuarapik基地紹介(KW基地における陸上生態系調査①)

ツンドラ生態系の生物多様性と生態系の構造・機能との関係を調査するため、カナダ東部ケベック州の、ハドソン湾に面したWhapmagoostui-Kuujjuarapik観測基地(通称KW基地、北緯55°西経77°)を訪れています。

観測基地のある町Whapmagoostui-Kuujjuarapikには、2つの民族(イヌイットとネイティブアメリカン)が居住しています。町の名前が2つあるのはそのためです。町の人口は1400人ほどで、毎日営業しているグローサリーストアは、日本のスーパーマーケットと遜色ない豊富な品揃えで、食料品や日用品などには困りません。

KW基地はラバル大学他、複数の機関からなるCEN(Center for Northern Studies)が1970年代から運営しており2010年に大幅に改修されました。現在の基地は30人程度が収容可能で、食堂・複数の実験室・居住棟・倉庫など設備が非常に充実しています。また、太陽電池パネルを屋根に取り付け、省電力化にも力を入れています。この基地は、主にカナダ国内の研究者やラバル大学の実習などに用いられています。実験室には、乾燥機・電子天秤や冷蔵・冷凍庫などがあります。一方、テントやATV(All Terrain Vehicle:様々な地形を進むことのできる全地形対応車)など野外調査に必要な装備品の貸し出しも行っています。

KW基地は、マネージャーのマキシム(写真2中央)とスタッフのフランソワ(写真2左側から2番目)が運営しています。2人とも非常に親切で気のいい人たちです。冬季(9月~5月)はマキシムのみが駐在します。夏季(6月~8月)はマキシムに加えてスタッフ1~2名とコック1名が駐在し、研究者や学生のサポートにあたっています。

キャンプを複数回交えながらここに9月6日まで滞在し、調査を行います。

増本翔太(横浜国立大学・テーマ6実施担当者)

KW基地の外観

KWスタッフと日本人研究者。後ろに見えているのはグレートホエールリバー

Whapmagoostui-Kuujjuarapik基地の位置(下から3つ目)