ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

みらい北極航海でのArCSテーマ6の観測(「みらい」北極航海2016:テーマ6)

8月22日から10月5日まで、JAMSTECの海洋地球研究船「みらい」の北極航海に北海道大学水産科学研究院から4名乗船してテーマ6に関する観測を行っています。我々の研究目的は、「豊穣の海」である北部ベーリング海のアナディール水塊の高い生物生産(主に魚、哺乳類や海鳥の餌になるプランクトンについて)がどのように維持されるのか、また、その生物生産の高いアナディール水塊が周辺海域の海洋生態系に及ぼす影響について解明することです。

この目的を達成するために、我々は様々な観測機材を用いて、晴れの日も雪の日も観測を行っています。それらの観測機材の中に、セディメントトラップというものがあり、それを1年間北極の海中に設置して、試料の採集を行います。セディメントトラップとは、一言でいうと、海の中に設置するゴミ箱です。1年間たまったゴミ(沈降粒子試料:海中を沈んでいく細かい粒子)を回収して、それを実験室に持ち帰り分析することによって海洋生態系や物質循環に関する様々なことが分かります。つまり、これらのゴミは研究者にとっては宝の山で、そう考えるとセディメントトラップはゴミ箱ではなく宝箱ということになります。

 1年後に無事に宝箱が回収できますようにと祈りながら設置しました。回収が楽しみです。

三瓶真・北海道大学(テーマ6実施担当者)

雪の中続けられる観測

研究者にとっての宝箱であるセディメントトラップ

※本年度の「みらい」北極航海はArCSの一部として実施されています。航海の情報は「みらい北極航海ブログ」でもご覧いただけます。