ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

US CLIVARワークショップ2017 (Arctic change & its influence on mid-latitude Climate & weather)の参加報告

2017年2月1-3日に、ワシントンDCのジョージタウン大学にて開催された北極の海氷減少に伴う中緯度気候への影響に関する研究についてのワークショップ(2017 Arctic change & its influence on mid-latitude Climate & weather)に参加してきました。この会議では、ユーラシア大陸や北アメリカで頻発している冬季の寒冷化に対して、北極海の海氷減少が影響を及ぼす可能性について、科学者間のコンセンサスを得ることを主な目的として開催されました。大気モデルによる北極海の海氷感度実験の結果は、モデル間で多くのばらつきがあることから、北極の海氷減少以外の他の要因やモデル実験の設定等に関する議論がなされていました。

特に、ArCSの特任研究員である佐藤和敏氏の論文(Sato et al. 2014, ERL)がキーノートスピーチで多く引用されており、中緯度気候の寒冷に対する有力な要因の一つとして、メキシコ湾流における熱源に対する海洋応答の重要性が注目されていました。

数値モデリングのワーキンググループでは、北極海の海氷減少に対する大気応答のばらつきについて、モデル相互比較に向けた実験設定の取り決めなどが進められていました。近いうちに、近年頻発している中緯度の寒冷化に関する理解がさらに進むことが期待されます。

中野渡 拓也/国立極地研究所(テーマ1実施担当者)

会場のジョージタウン大学を臨む

ワークショップ初日の様子。US CLIVAR事務局による冒頭の挨拶