私は、2016年7月22日から8月17日まで、ArCS若手研究者海外派遣支援事業の助成を受けて米国アラスカ大学フェアバンクス校に滞在しました。
滞在期間中、同大学構内にある成熟林や内陸部南部のデルタ・ジャンクションにある成熟林、火災後12年目の森林において、クロトウヒなど複数の植物の光合成速度や蒸散速度、光合成に関する生理特性(C/N比、SPAD値)を計測しました。アラスカ大学構内にあるクロトウヒ林は樹高が低く、樹冠が非常に開けているため、林床が非常に明るく、一見したところ森林には見えません。クロトウヒもちょっと倒れ掛かっていたり葉がなかったりして、測定する前は「本当にこのクロトウヒ、光合成しているのか?」と疑心暗鬼だったのですが、今回光合成速度を測定してみると、これが結構二酸化炭素を吸収していました!
森林での観測中は、身動きが取れないため大量の蚊に襲われながらの作業を強いられました。アラスカの蚊は日本に比べて大きく、2倍以上はあります。さらに、刺されたら気づくのです。日本の蚊はいつの間にか刺されている、というイメージですが、アラスカの蚊は刺されたら分かります。「今刺されている!」って。残念ながら写真はないのですが、アラスカの蚊にはびっくりしました。
今回の滞在では自分の研究に関して米国研究者などの多くの方々から議論をする機会や、アドバイスをいただき、今後の研究や人生に役立つ貴重な経験となりました。最後になりましたが、フェアバンクスにおける私の研究を支援して頂いた全ての方々とArCSの助成に深く感謝申し上げたいと思います。
田原成美(大阪府立大学※派遣当時)