ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

持続可能な開発作業部会の定例会合(コツビュー、2017月2月)

2017年2月7日から8日にかけて、米国アラスカ州のコツビュー(Kotzebue)において、北極評議会の持続可能な開発作業部会の定例会合が開催されました。

コツビューは、アラスカ北西部のチュクチ海沿岸に位置し、先住民であるイヌピアットの町としても知られています。会議の開催中は摂氏マイナス20度でしたが、地元の人が「頬を噛む」という表現を使っていた寒風が吹くと、体感マイナス30度以上はあるかと思える程寒いところでした。

凍結しているチュクチ海

コツビューの黄昏

本定例会合では、1)米国議長国期(2015-17年)に実施されてきたプロジェクトからの成果報告、2)フィンランド議長国(2017-2019年)において継続すべきプロジェクトの採択、3)新規プロジェクトの採択、4)戦略枠組文書の作成に向けた準備が行われました。

今回の会合への参加者は、北極評議会の加盟8か国からの代表団、常時参加者(Permanent Participants)と呼ばれて特殊な地位が認められている6つの先住民団体(アリュート国際協会、北極圏アサバスカ評議会、グイッチン国際評議会、イヌイット極域評議会、ロシア北方民族協会、サーミ評議会)、専門家グループである北極人間健康専門家グループ(AHHEG)、社会・経済・文化専門家グループ(SECEG)でした。また、オブザーバーからは、オランダ、日本、オランダ、韓国、北米北極研究所、世界馴鹿放牧協会、国際北極社会科学協会、北方フォーラムが出席しました。

定例会合の様子

オブザーバー席

本会合での議論の結果は、SDWG戦略枠組文書として纏められ、上級実務者会合(3月8-9日、アラスカ・ジュノー)に提出される予定となっています。SDWG戦略枠組文書は、上級実務者会合の承認を得たのち、最終的には2017年5月にフェアバンクスで開催される閣僚会合にSDWG米国議長期の成果として提出されます。

なお、本会合に先立って企画された、世界有数の亜鉛生産を行うレッド・ドッグ・マイン並びにコツビューにおける地元企業及び学校への視察に参加し、先住民社会及び地元社会の持続可能な開発を考える上でのよい準備運動となりました。

大西富士夫(北海道大学/テーマ7実施担当者)