ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

PACESワークショップ、AMAP SLCP EG派遣報告

PACES (air Pollution in the Arctic: Climate, Environment and Societies) のワークショップが6月27-29日カナダのビクトリアで開かれました。約15か国から60名近い参加者がありました。近藤はニーオルスンにおける積雪、降雪中のブラックカーボン(BC)の濃度の観測結果の発表を行ないました。

特に、観測手法や、BC濃度の降雪量依存性、先行研究との比較について発表しました。参加者から多くの質疑が出され、その後の議論から、この講演は大きな興味を喚起したことが理解できます。

会議中に北極における高精度BC測定法に関する議論が行われた。今後日本のCOSMOSを中心に比較観測を行っていくという方向が出されました。具体的には、ブラックカーボンンの測定法の統一のため近藤とワシントン大学のD. Jaffe教授が中心となり、測定法の評価や比較測定を行うことが了承されました。これはこれまで、測定精度が不明確な方法による観測データによって混乱していた北極を含む世界のBCデータを整合性のあるものにする重要なステップとなります。

つづけてAMAP Short-lived Climate Pollutants Expert Group (AMAP SLCP EG)にも参加しました。

今後の報告書の作成に向けての役割分担の議論が行われました。日本として、観測とモデル研究の両面から貢献することを述べ、認められました。

このようにArCSの成果を基に、北極エアロゾル研究に関する日本の成果を示すことができ、国際共同研究を発展させる基盤ができつつあります。今後、日本に対する期待に応えていくことで、より大きな成果につなげていきたいと思います。北極研究を発展させるため、国内の研究者の連携をさらに強める必要があります。

近藤 豊/国立極地研究所・特任教授(テーマ3 実施担当者)