ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

アラスカ・ベセルで開催された北極圏動植物保全(CAFF)作業部会役員会議について

今年から2年間はアメリカが議長国となります。今回はアメリカにとっては議長国となって初めての役員会合でした。議長はU.S. Fish and Wildlife Service(アメリカ合衆国魚類・野生生物局)のCynthia Jacobsonが就任しました。

会議はアラスカのアンカレッジから飛行機で西に1時間ほどのところにあるBethelで行われました。この町はもともとユピック族が暮らしており、1800年代後半の人口は50人にも満たないものでしたが、その後交易所として発展し、現在は6000人以上が住んでいます。年代別の人口の比率は20代が最も多いとのことであり、若い世代に伝統的な文化や知識をいかにして引き継いでもらうかが課題の一つとのことでした。
 さて、今回の会議では、周北極における生物多様性モニタリングプログラムの今後2年間の実施計画に関する議論や北極に飛来する渡り鳥の保全、沿岸域の保全、海洋や淡水域に関する生物多様性の成果報告やそのとりまとめに関する議論が行われました。一方、新しい計画として大学生を対象とした教育プログラムや生物多様性のメインストリーミングなどが紹介されました。
会議終了後は現地住民との懇親を深める行事が用意されていました。一日目はサーモン漁のためのフィッシュキャンプの見学(雨のため外からながめるだけでしたが)とそのサーモン料理が振る舞われました。2日目の夜は現地の中高生が伝統的なダンスを披露してくれました。また、会議参加者も一緒になって踊りました。CAFF参加者から現地住民には各国から持ち寄ったスナックや瓶詰めのキノコ、魚の干物などが振る舞われました。和やかな雰囲気のなか、会議は終了しました。

内田雅己・国立極地研究所(テーマ6実施担当者)


CAFF会合の会場


CAFF会合の様子


若者による歌と踊り