ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

平成28年度若手研究者海外派遣報告:フラム海峡の動物プランクトン試料解析

2017年3月1日から5月30日にかけて、私はドイツのアルフレート・ウェゲナー研究所(AWI)にArCS若手研究者海外派遣支援事業の助成を受けて滞在しました。AWIはいくつか施設を持っているのですが、私がお世話になった研究室はドイツ北部のブレーマーハーフェンという港町にありました。ブレーマーハーフェンはドイツ国内で製造された自動車や風車の輸出拠点となっており、北海道の苫小牧に雰囲気が似ていました。

AWIのプランクトンチームは2011年から毎年夏季にグリーンランドとスヴァールバル諸島の間に位置するフラム海峡でサンプリングを行っており、私は2011年と2016年に採集されたサンプルを解析しました。普段見慣れている北太平洋や西部北極海のサンプルとは少し出現する種類が異なるため、最初の1週間は受け入れ先研究室のポスドクの方に出現種の見分け方を教わりました。

現在、AWIのプランクトンチームは高解像度で動物プランクトンの写真を連続的に現場海域の水中で撮影することに挑戦しており、私の滞在中に撮影した画像データから出現種の自動判別を行う方法を検討し試しているところでした。私も画像データの処理の仕方や、画像データから種の自動認識を行う方法などを学び、受け入れ先のポスドクの方と一緒に議論を重ね、新しい手法を試すなど、今後の研究人生にとって、とても貴重な経験をする事ができました。

その他にも滞在中はセクションミーティングや研究・論文紹介セミナー等にも参加し、またインターンシップでブレーメン大学から来ていた学部生と交流するなど、とても有意義に過ごすことが出来ました。結びに、この度のドイツでの研究を支えてくれたすべての皆様およびArCS若手研究者海外派遣支援事業の助成に深く感謝いたします。

阿部義之/北海道大学


受け入れ先研究室のメンバーと


研究室の様子