ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

平成28年度若手研究者海外派遣報告:トロント大学への派遣にて

2017年1月4日から4か月間、ArCS若手研究者海外派遣支援事業の派遣者として、カナダのトロント大学に4ヶ月間滞在しました。私は、冬季の北極成層圏で発生する成層圏突然昇温という力学現象を対象として研究を行なっております。この現象は、数日のうちに極域成層圏の気温が数十度も上昇し、対流圏の気流の流れにも影響を及ぼしうる極端現象です。受け入れ研究者であるPaul Kushner教授は、成層圏力学の分野において著名な方です。本事業の支援があったからこそ、私は博士後期課程在学中の学生ながら、そのような海外の著名な研究者のもとで研究を行う機会を得る事ができました。このことについて深く感謝申し上げるとともに、このような素晴らしい事業がより多くの人に認知され、活用される事を願っております。

さて、滞在先での活動について簡単にご紹介します。現地に到着してすぐにKushenr教授の研究グループのセミナーにて、私がこれまで行ってきた「北極の海氷減少が成層圏突然昇温に及ぼす影響」に関する研究成果について発表を行いました。Kushner教授のグループでは、気候システム、北極気候変動に関する研究が行われており、プレゼンテーションでは、また滞在期間を通して活発に議論を行うことができました。

滞在先の街、トロントは、カナダ最大の都市です。トロントはカナダの中でも特に移民の割合が高く、様々な国の人が住んでいるため、ギリシャ料理やイラン料理、ブラジル料理など、日本では食べることができないような世界各国の食事を楽しむことができました。また、近年の日本食ブームもあり、街中には数多くの日本食(寿司)レストランも並んでいました。メニューに並ぶ寿司はどれも日本では見慣れない欧米風にアレンジされたカリフォルニアロールでした。友人と寿司レストランに食事に出かけた際には、どの寿司が美味い?とよく聞かれたのですが、これは日本のものとは少し違う、日本では握りを良く食べる、と毎回説明していた事が思い出となっています。

以上のように、滞在期間を通して、研究、私生活ともに充実した日々を送ることができました。研究面においては、この4ヶ月間で得た結果、新たに生まれたアイディアについて帰国後も解析を進めていく予定です。加えて、Kushner教授とは今後も継続して議論をしていただけることとなっており、将来につながるコネクションを形成することもできました。

星一平/新潟大学


Kushner教授グループでのランチにて