ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

平成29年度若手研究者海外派遣報告(実務者短期派遣):Arctic Frontiers 2018 参加報告

1月21~26日にかけ、ノルウェー・トロムソでArctic Frontiers 2018が開催されました。Arctic Frontiersはトロムソで毎年行われる国際会議で、北欧を中心に各国から政策決定者、ビジネス関係者、研究者が集まり、北極における持続可能性について議論を行います。今年は”Connecting the Arctic”をテーマとし、北極の社会を他の地域とどう結ぶかという問いをめぐる議論が展開されました。特にテレコミュニケーションにおける最新技術や、北極海航路の利用といったトピックは複数のセッションで盛んに取り上げられました。


Arctic Frontiers 2018の開会

ArCS若手研究者海外派遣支援事業では、昨年10月に新設された実務者短期派遣支援で採択された蠣崎友美氏(苫小牧港管理組合)、前田尋夫氏(室蘭市港湾部)、川尻規貴氏(株式会社商船三井)の3名がこの会議に派遣され、主に北極海における海運について情報収集を行いました。初日のポリシーセッションではノルウェー、フィンランド、スウェーデンの各省庁の閣僚が基調講演とパネルディスカッションを行い、各国の北極の開発と保護に関する姿勢を窺うことができました。それに引き続いて行われたビジネスセッションでは北欧の海運、水産、エネルギー、通信関係の企業が集まり、最新のビジネスの情勢や技術開発について多くの発表が行われました。北極海航路のガバナンスをテーマとしたセッションも開かれ、3名の派遣支援対象者にとっては、北極海航路をめぐる各国の動向について情報を得る機会となりました。また、北極海航路を専門とする研究者や、北極における海運関係企業も数多く会議に参加しており、Arctic Frontiersを通して産官学の垣根を越えたコネクションを構築することができたようです。

トロムソは例年より気温が低く、会期中は毎日-10℃前後となり、日本からの来訪者にとってはやや厳しい気候でしたが、空気が澄んでいた最初の二日間はオーロラを観察することもでき、初めて北極圏に訪れた3名にとっては他では得難い経験となったようです。

ArCS事務局


持続可能な開発目標(SDGs)については様々なところで言及される


トロムソの夜空に現れたオーロラ (撮影者:川尻規貴)


山頂からの街の夜景 (撮影者:前田尋夫)