今回はアメリカが議長国となって2回目の会合でした。会議はアラスカのフェアバンクスからバスで1時間ほど離れたChena Hot Springs Resortで行われました。通常は先住民のコミュニティでの実施ですが、今回初めてリゾート地での実施となりました。バスで移動する際に5頭のムースを見ることができ、生物好きのメンバーにとっては、良いスタートとなりました。
今回の会議でも、周北極における海洋、陸域、沿岸、淡水における生物多様性モニタリングプログラムの成果のとりまとめと今後の計画や今年の秋フィンランドで開催されるArctic Biodiversity Congress 2018の実施に向けた計画、北極外来種問題(Arctic Invasive Alien Species:ARIAS)の戦略とアクションプラン、CAFFにおけるメインストリーミングなどについて多くの時間が費やされました。
一方、教育に関するプログラムが実行された会でもありました。具体的には北極科学委員会(IASC)とCAFFが連携し、極域について勉強・研究している学生や若手研究者の会(Association of Polar Early Career Scientists)から2名をCAFFに招待し、調査・研究によって得られたデータがどのような議論を経て政策決定者に伝わっていくのかを実際に体験してもらうというものです。また、アメリカがリードする“Inspiring Arctic voices through youth”(日本語に訳しづらいのですが、敢えて訳すならば、若者に北極の声を吹き込め!といったところでしょうか)では、学部生を対象に北極における自然や文化を座学で学ぶのではなく、例えばArctic Circleという会議に出席し、そこで現在北極が直面している課題について直に情報を得たり、会議に出席している各国の閣僚や先住民と対話したり、学生同士で議論をしあったりするというものです。今回Arctic Youthに参加した3名の学生から参加報告がありましたが、全員とても刺激の多い充実した時間だったと発言していました。Arctic Youthは北極国だけで閉じているものでは無く、今後も様々な行事を企画する予定なので、日本の学生も是非参加して欲しいとアメリカ代表からの呼びかけがありました。
最後に、私がCAFFに出席して以降、今回初めて中国から2名の参加者がいました。今年の後半に上海で渡り鳥のワークショップを開催する関係で参加されたようです。中国からの参加者から発言はありませんでしたが、議長から、黄海をメインにした渡り鳥に関する紹介ビデオの作成計画があることや、上海でのワークショップにとても期待しているという内容の発言がありました。
内田雅己(国立極地研究所/テーマ6実施担当者)