ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

第22回北極圏海鳥専門家グループ会合(英国南極調査所・ケンブリッジ)

北極圏海鳥専門家グループ(CBird Group)は北極圏動植物相保存作業部会CAFFの専門家グループとして、北極圏で行われている海鳥の研究や保全に関する情報交換やコーディネーションを目的とした会合を毎年行っています。今回の会合において、私は日本が太平洋側北極(セントローレンス島)で行っている5種の海鳥の渡り経路追跡の予備的結果を発表しました。

大西洋側北極では各国による海鳥の渡り経路追跡研究が活発になされていますが、太平洋側北極でこうした研究活動を行っているのは日本だけです。私につづいて行われたロシアの研究者の発表により、ロシア沿岸の北極圏に生息する海鳥も、セントローレンス島の海鳥と同様の北部太平洋海域を利用していることが報告され、北極圏外の特定の越冬海域が北極圏で繁殖する海鳥にとって重要である可能性が示唆されました。その他に、近年ホッキョクグマが海鳥の営巣地に現れて海鳥を捕食する事例が増加していること、グリーンランドやカナダでの先住民による狩猟がウミガラスの個体数を大きく減少させている可能性があること、また今後増加すると見込まれる観光船の影響などに関する報告や議論が行われました。会合の最終日にはケンブリッジ大学トリニティカレッジでの夕食会、ケム川でのボート乗船、湿地での野鳥観察などのイベントがあり、各国の研究者と情報交換やディスカッションを行うとてもよい機会となりました。

Alexis Will(国立極地研究所)


ケンブリッジの風景


集合写真(前列右から3番目が筆者)



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