海洋研究開発機構(JAMSTEC)が所有する海洋地球研究船「みらい」(写真1)を利用して、2018年10月24日から12月7日にかけて、北極海における観測航海が予定されています。 私たちは10月22日と23日に関根浜港を訪問し、「みらい」に大気中の温室効果ガスを測定するための連続観測システムと空気サンプリングシステムを設置しました。
この研究の目的は、大気中の温室効果ガスおよび関連物質の時空間的分布を明らかにし、北極地域の発生源からの放出量を調査することです。北極域には温室効果ガスの潜在的な発生源があり、地球温暖化によってその放出量が増えると多くの研究が指摘しています。そこで、北極地方の温暖化にともなう温室効果ガスの放出量の増加を早期に把握することを本研究は目指しています。
「みらい」における大気中のCO2、CH4、COの連続測定には、キャビティリングダウン分光分析装置(CRDS、PICARRO G2401)を用いました(写真2)。 空気試料は、上部デッキのフロントマストに固定された吸気口(写真3)からデカンボン管を通じてダイヤフラムポンプによって吸引されました。 次に、電子除湿器とナフィオン乾燥管を通過させて空気試料を乾燥し、船室内に設置したCRDSに導入しました。
測定システムは10月22日の午前中に順調に設置されました。しかし、観測を開始したときに深刻な問題が発生しました!サンプリングポンプからかなりの漏れ(リーク)が見つかったのです。残念ながら、ポンプの予備もポンプ用の修理キットも持ち合わせていませんでした。そこで、漏れた部分に接着剤(Araldite)を充填しました(写真4)。接着剤の固化のための3時間後、サンプリングポンプの漏れを解決することに成功し、観測を再開しました。リークが見つかったときはひやりとしましたが、その場で問題を解決することができてほっとしました。
遠嶋康徳・国立環境研究所(テーマ3実施担当者)
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