2018年9月6日から10月2日までカナダの砕氷船Louis S. St-Laurent(写真1)に乗船し、北極海カナダ海盆の海洋観測を行いました。全体としては、CTD観測、ニスキンボトルによる採水、プランクトンネットを用いた動物プランクトンの採集、XCTD観測、海氷観測、ITPブイの回収・設置、係留系の回収・設置などが行われました。我々のグループは、ニスキン採水、採水したサンプルのアルカリ度の測定、係留系に設置した時系列採水器の回収を行いました。
アルカリ度は海洋の炭素循環や酸性化の理解につながる重要な成分です。また、河川水中のアルカリ度は高く、また、河川ごとに値が異なるので、塩分や酸素同位体比と共に解析することによって、海洋中の淡水の起源の識別を行うことができます。本航海の測定結果からも、マッケンジー川河口のステーションの表層において、アルカリ度が高い傾向が見られました。
また、時系列採水器では、航海による観測ができない冬期の海水のサンプリングを行うことができます。本航海で回収したサンプルについて、塩分、アルカリ度、全炭酸、酸素同位体比、栄養塩用の海水の採水を行うことができました。航海中に塩分、アルカリ度、全炭酸の測定を行ったので、今後は酸素同位体比と栄養塩の測定を行う予定です。
今回の航海は、私にとってはじめての外国船であり北極航海だったので不安ばかりでしたが、北見工業大学の舘山一孝先生をはじめ、他の研究者の方々や乗組員の方が手助けをしてくださり、無事に航海を終えることができました。また、オーロラやホッキョクグマを見たり海氷に降りたりと、通常の生活ではなかなかできない経験をさせていただきました。
本航海での様子をyoutubeに投稿する予定なので、見ていただけると嬉しいです。
URL https://www.youtube.com/channel/UCqL320uFgBfsrZv2OC7jOvg
熊川 小綾花(東京海洋大学)