ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

平成30年度若手研究者海外派遣報告:北極サークルへ参加して

初めまして。三菱電機株式会社の杉山と申します。

幼少期から北極や地球温暖化に興味があり、自分の専門分野(電力・エネルギー)と絡めて何か貢献ができないものかと模索していたところ、本募集(若手技術者派遣)を見つけすぐに応募しました。幸運にも採用いただき、本当に感謝しています。

今回参加したのは、アイスランドの首都レイキャビクで毎年行われている「Arctic Circle 2018」です。欧州を中心に世界中から約2,000人の参加者が集まり、北極でのビジネスや政策、生物多様性、ジャーナリズムなど、幅広い分野で議論します。今回は、日本から河野外務大臣も参加され、オープニングでスピーチがありました。日本の存在感が強く示された会の幕開けとなりました。

3日間の会議では、16のセッションに参加しました。 例えばエネルギー関連のセッションでは、北極圏の極寒地域でどのように電力を供給するか議論されていました。北極圏では未だに電力供給のない地域が多くあり、外から燃料を運ぼうとしても、そもそも港もないようなケースも珍しくありません。解決策として風力などの再エネを導入して、その地域内で電力を自給自足するマイクログリッドが挙げられていました。しかし寒すぎて風力発電機が凍り、最悪の場合折れてしまうこともあるそうで、課題の共有や議論が活発に行われていました。

報道のセッションでは、気候変動の報道に対して、一般市民の反応がどのように変化しているか議論されていました。以前はホッキョクグマの写真を取り上げると記事のクリック数が伸びたようですが、最近では逆にソリューション系の記事が人気(アクセス数が上がる)ようです。ジャーナリストたちは、人々は地球温暖化について、問題提起よりも具体的な解決策を求める傾向に変化している、と分析していました。

各セッション後には、登壇者に直接質問をぶつけに行き、連絡先を交換することもありました。また、最終日には他のArCS関係の方とお食事にも行かせていただき、国内外問わずたくさんの新たな出会いを得ることができました。このご縁を大切に、自分のやるべきことを見定めながら今後も業務に励んでいきたいと思います。

最後になりましたが、この度は貴重な機会をいただき本当にありがとうございました。

杉山 瑛美(三菱電機株式会社)


会場の“Harpa”は港のすぐそば


外務大臣河野氏


オープニングセッションの様子