ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

平成30年度若手研究者海外派遣報告:AGU Fall Meeting 2018への参加

12月10日(月)から12月14日(木)までの5日間にかけて、ワシントンD.C.(アメリカ)にて開催されたAGU Fall Meeting 2018に参加しました。期間中は4日目の午前中にポスター発表を行い、それ以外の時間は口頭発表に参加したり、協賛ブースの見学やワシントンD.C.内の観光をしました。

ポスターセッションでは、”A mechanistic model of methane and carbon dioxide emissions on changing soil moisture conditions (土壌水分状態の変動に伴うメタン・二酸化炭素放出の機構モデルについて)”というタイトルで発表を行いました。土壌中でメタンの生成層と酸化(消費)層が明確に二分されているメタン放出モデルが多い中、メタン生成・酸化の不均質性を反映しているのが私の発表したモデルの特徴となっています。このモデルの発表を通じ、他の研究者の方々と議論を交わし、意見を頂くことで今後の研究の糧を得ることが出来ました。特に、メタンガスの移動メカニズムや、メタン濃度の鉛直分布に関するご指摘を多く頂きましたので、今後の研究課題として取り組んでいきたいと思います。また、ポスターセッションを通じて多くの研究者と知り合うことが出来ました。 

自身のポスター発表の無い時間は、主に口頭発表に参加しました。口頭発表では、北極域の気候変動や、メタンガス放出、永久凍土融解などに関するセッションに参加しました。最新の研究について幅広く触れることができ、非常に刺激的でした。私が特に興味深く感じたのは、土壌呼吸に対する冠雪・積雪の効果や、土壌中の微生物動態に関する研究で、これらに関しての知見を深め、あわよくば自身のモデリングの研究に活かしたいと考えております。 

空き時間には協賛ブースの見学やワシントンD.C.の観光をしました。協賛ブースでは企業や研究機関が様々な展示をしており、自分の研究との関連の有無に関わらず、多くの展示を楽しみました。ワシントンD.C.市内ではスミソニアン博物館やホワイトハウスなどの建築を訪ね、アメリカの歴史やその壮大さを満喫することが出来ました。 

初の学会参加ということもあり、渡航前は不安な気持ちもありましたが、参加してみると非常に楽しく、あっという間の5日間でした。今回の学会を通じ、自身の研究を研究者の方々にぶつけるとともに、最新の研究に触れることができ、たくさんの刺激を受けることができました。今回このような貴重な機会を与えて頂き、誠にありがとうございました。

坂本 春樹(東京大学)


AGU Fall Meeting 2018 におけるポスター発表