ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

国際的な北極域の海鳥研究活動に対する日本の貢献

CBirdは北極評議会CAFF(北極圏植物相・動物相保存作業部会)の元にある北極域の海鳥に関する専門家作業グループです。CBirdには北極圏8カ国に加え、オブザーバー国4カ国(日本、イギリス、オランダ、フランス)が参画しています。2019年の年次会合はアイスランドのアークレイリのCAFF事務局において3月26日〜29日に開催されました。今回の会合では進行中のプロジェクトの進捗報告、また今後のプロジェクト計画に関する議論が行われました。

今年の夏期間には以下の3つのCBirdプロジェクトが成果をまとめる予定です:1) 北大西洋のダンゴウオ漁業における海鳥の混獲状況に関するレビュー、2) ウミガラス類の越冬地での狩猟が北大西洋の繁殖個体群に与える影響のモデリング、3) キョクアジサシの個体群の状況に関する周極的なレビュー。日本は2016年からアラスカ・セントローレンス島の海鳥繁殖地で繁殖成績や越冬期の移動経路に関する調査を実施しており、これは太平洋側北極での数少ない調査ポイントの一つとなっています。これらのデータは来年中にはCBirdがモニタリング調査に基づいて作成する北極域の海鳥の繁殖や個体数変化の状況をとりまとめたオンラインデータベース「海鳥個体群インベントリー」の一環として公開される予定であす。このようなデータベースは、北極の海鳥の生息状況にどこでどのような変化が起こっているかを、専門家あるいは関心のある誰もが簡単に評価できるようにする目的で準備が進められています。

Alexis Will(国立極地研究所)

CBird 2019の参加メンバー。10カ国からの参加者が北極域の海鳥の保全に関して議論するためにアイスランドに集まった。


CBirdへの参加者が、地熱で形成された地形を見学している様子。こうした野外エクスカーションは参加者間での情報交換のよい機会となった。


海鳥の混獲に関する議論の一コマ。4日間の議論の末に今後の活動項目が策定された。