ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

2019年度若手研究者海外派遣報告:Ice Core Analysis Techniques (ICAT) PhD school-2019 および8th International Ice Drill Symposiumへの参加

デンマークのコペンハーゲンにおいて開催されたIce Core Analysis Techniques (ICAT) PhD school-2019 および8th International Ice Drill Symposiumに参加しました。どちらも私の研究対象であるアイスコアに関連したものです。アイスコアはグリーンランド氷床や南極氷床、氷河を掘削して得られる氷で、その中に含まれる気体や化学成分などから得られる情報は古気候・古環境復元に役立ちます。

Ice Core Analysis Techniques (ICAT) PhD school-2019は6日間にわたりコペンハーゲン大学ニールス・ボーア研究所にて行われました。このスクールは次世代のアイスコア研究者の育成のために開催されました。今回は世界各国の大学や研究機関から国籍も様々な大学院学生や博士研究員が23名参加しました。ICAT PhD Schoolでは、講義や分析装置や研究施設の見学、データ解析の実習を通して、アイスコアから得られるデータ、研究史、掘削などに関して学びました。期間中は研究者や同世代の学生や博士研究員と知り合うことができたと同時に、互いの研究内容についてや、これまでに経験した研究活動について話すことでより多くの情報を得ることができました。

ICATの後には、8th International Ice Drill Symposiumに参加しました。このシンポジウムはアイスコアの掘削に関連する最先端の技術と知識の情報交換を目的として開催されました。今回は世界各国から93名の研究者や技術者が集まり、様々な掘削技術の開発や各国の掘削の現状および計画などに関しての発表が行われました。掘削手法の種類やドリルの構造などの技術的な知識を得る良い機会となりました。また、参加した各国の研究者や技術者からはフィールド活動での実体験など興味深い話を聞くことができました。

今回の派遣で参加したICAT PhD Schoolおよび8th International Ice Drill Symposiumではアイスコアに関する様々な分野の知識を得るとともに、海外の研究者や博士課程の学生との幅広いネットワークを構築することができました。これらをグリーンランドアイスコアを用いた今後の研究につなげていきたいと思います。このような機会を与えてくださったArCS若手派遣事業に感謝いたします。

米倉 綾香(総合研究大学院大学)