ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

2019年度若手研究者海外派遣報告:ブレーメン滞在記:国際共同研究「Palynochemistry Project」の足掛かりとして

北海道大学・北極域研究センターの安藤 卓人です。若手派遣でブレーメン大学海洋環境科学センター(marum)(小文字が正解らしい)に行ってまいりました。

今回は、「海成パリノモルフの高分子分析」をしてまいりした。英語では「marine palynomorph」ですが、marineの邦訳を海生もしくは海産とする場合があります。パリノモルフとは、生物由来の抵抗性の高分子かなる有機質膜や有機質殻の総称で、日本語では有機質微化石とよばれます。花粉や胞子もパリノモルフですが、私が今回対象としたのは「海成」のパリノモルフです。多くは植物プランクトンや動物プランクトンが環境変化に応答して形成する「シスト(cyst)」です。最近、パリノモルフの高分子を分析することで分類学的な利用や環境指標としての利用が可能ということが明らかになりつつあります。日本ではこれまで研究が行なわれていなかったので、今回の派遣で技術を習得してきたというわけです。研究の詳細は報告書を参照ください。

さて、滞在中のブレーメンではちょうど「Freimarkt」が開催されており、町中がお祭り騒ぎでした。実はあまり賑やかなのが好きではないので、私はメイン会場ではなく人が少ないマルクト広場で満足していました。個人的には、週末に先生方が連れて行ってくれたご自宅周辺の雰囲気の方が好きでした。出身が千葉の田舎だからかな…と思います。もちろんブレーメンの街並みも美しく、非常に住みやすいところでした。こちらはどことなく、今住んでいる札幌に似ている気がしました。博物館や植物園、楽器演奏が趣味なので金管楽器工房にも行って、ブレーメンの街を満喫しました。今回の派遣をきっかけに共同研究が始まったこともあり、これから何度も行くのが楽しみで仕方ありません。

博士課程のころから念願だった研究をすることができたばかりでなく、いよいよ自分自身が主導の国際共同研究が始まった気がして、毎日がとても充実しておりました。この度はこのような機会をいただき、本当にありがとうございました。

安藤 卓人(北海道大学)
※この記事は2019年12月に作成されました。


静かな週末の一枚①:露頭前にて説明をしているGerard Versteegh博士


静かな週末の一枚②:馬の世話をしているKarin Zonneveld教授