ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

2019年度若手研究者海外派遣報告:1st Southern Hemisphere Conference on Permafrost及びPost-Conference Field Tripへの参加

1st Southern Hemisphere Conference on Permafrost(SouthCOP2019)は永久凍土に関する国際会議で2019124日~14日の11日間に亘りニュージーランドのクイーンズタウンにて開催されました。クイーンズタウンは背の高い山々とワカティプ湖に囲まれた自然豊かな町で、会議の前後には周辺の自然環境を対象として野外巡検が催されました。

会議では主に、衛星観測技術・岩石氷河・永久凍土と気候変動の関連・高山地域の永久凍土といったトピックについて最新の研究成果を学ぶことができました。特に私の研究対象である衛星観測技術ついては、衛星データを用いた岩石氷河の流動速度検出についての発表や、最新の衛星観測の結果を集約したデータベースについての発表が印象的でした。私自身もシベリアの森林火災跡地で進行する凍土融解について発表し、海外の研究者と情報交換をすることができました。

また、会議後半に開催された3日間に亘る野外巡検にも参加しました。巡検には2名の現地研究者がガイドを勤めてくださり、各国から約20人の研究者が参加しました。主な目的地は、ニュージーランド南島を縦断するアルパイン断層帯と、凍土が融解・凍結する過程で生成されるオタゴ地方の周氷河地形でした。露頭の掘削や現地研究者からの説明を通して地形の成り立ちについて学びました。巡検中は各国の研究者と英語でコミュニケーションを取りながら共同生活を送ることができ、海外の研究活動に参加したいという意欲が以前よりも増しました。

最後に、本渡航支援制度のおかげで国際学会と野外巡検において貴重な経験ができました。このような機会を与えてくださった本制度に対しまして改めて感謝の意を表します。

柳谷 一輝(北海道大学)


会場近くから見たワカティプ湖とクイーンズタウン


ハースト周辺の露頭。アルパイン断層帯の断層運動について学びました


途中休憩の風景。果物やクッキーを食べ、同行した研究者と交流しました


ティマル海岸のDashing Rocks