ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

2019年度若手研究者海外派遣報告:WMMC’19への参加

2019年127日から1212日までスペイン、バルセロナで行われたWMMC’19(世界海棲哺乳類学会)に参加しました。9日午後と11日午前のポスターセッションで発表を行い、ワークショップと口頭発表、スピードトークに参加しました。話題提供のほか、グループディスカッションもありました。

12月78日は3つのワークショップに参加しました。北極周辺の受動的音響モニタリングのセッションでは、モニタリング地点やデータを共有するためのWebページを作成しました。音響技術とデバイスのセッションでは、衛星やWi-fiを経由したリアルタイム観測システムなどの新しい録音装置や技術が紹介されました。海中騒音のセッションでは、話題提供のほか、海棲哺乳類に対する騒音の影響を評価するための観測項目と評価基準を決めるグループディスカッションもありました。

ポスターセッションでは、”Songs of fin whales in the southern Chukchi Sea (チャクチ海におけるナガスクジラのソングについて)”というタイトルで発表を行いました。発表内容は2012-2015年にチャクチ海南部で録音されたナガスクジラの鳴音の内、ソングと呼ばれる規則的な鳴音のパターンを解析したものです。このパターンには地域特異性があることから、個体群を示す指標として用いられており、回遊経路の解明や個体群管理にも利用されています。このパターンを先行研究で示された他の地域のパターンと比較した結果について発表しました。他の地域で同様の研究をしている方とも意見交換ができ、鳴音パターンについての情報や解析方法について意見をもらうことができました。

発表のない時間は主に、音響コミュニケーションや極域生態についてのセッションに参加しました。音響コミュニケーション、極域生態のどちらでも海中騒音についての発表が非常に多い印象を受けました。また音響分野では、近年話題となっているAIDeep learningを用いた解析の紹介も多くありました。行ってみたい調査手法や参考にしたい解析手法の情報を得ることができたので、今後の研究に生かしていきたいです。

アイスブレイクや学生交流会では様々な研究者と話すことができ、楽しい時間を過ごせました。

初の海外学会参加ということもあり、英語がおぼつかない場面もありましたが良い経験となりました。今回このような貴重な機会を与えて頂き、誠にありがとうございました。

古巻 史穂(北海道大学)


WMMC’19でのポスター発表


アイスブレイクの様子