北極域研究の最前線 | ArCS II 北極域研究加速プロジェクト https://www.nipr.ac.jp/arcs2 北極域に関する先進的・学際的研究を推進し、その社会実装を目指します Thu, 01 Aug 2024 00:03:08 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.5 プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.9より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2024-8/ Thu, 01 Aug 2024 00:03:07 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=12483 ArCS II ニュースレター No.9では、2023年秋から2024年春にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。 ※所属はニュースレター発行時の情報です。 […]

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ArCS II ニュースレター No.9では、2023年秋から2024年春にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。
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太平洋側北極海の公海にまで忍び寄る低酸素化・酸性化

西野 茂人
(海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター)


国際プロジェクトSynoptic Arctic Survey(SAS)の2020年の観測で、北極海公海の太平洋側の海台において低酸素化・酸性化した海水を発見しました。この海水はこれまでシベリア沿岸でしか見られませんでしたが、海氷減少に関連した海流の変化に伴い、より沖の海台まで運ばれてくることが分かりました。この海域は北極海公海の中で最も早く低酸素化・酸性化が進んでいることから、生態系への影響が危惧されます。
論文タイトル Atlantic-origin water extension into the Pacific Arctic induced an anomalous biogeochemical event
掲載誌 Nature Communications
掲載日 2023年11月2日
著者 Shigeto Nishino, Jinyoung Jung, Kyoung-Ho Cho, William J. Williams, Amane Fujiwara, Akihiko Murata, Motoyo Itoh, Eiji Watanabe, Michio Aoyama, Michiyo Yamamoto-Kawai, Takashi Kikuchi, Eun Jin Yang, Sung-Ho Kang
DOI https://doi.org/10.1038/s41467-023-41960-w

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AIによる衛星画像の自動解析で氷河湖の変動を解明

王 鄴凡
(エディンバラ大学 地理学部
 ※論文発表時 北海道大学 低温科学研究所)


グリーンランドの氷河氷床上には融け水による湖が形成され、氷の融解と流動を加速させると考えられています。本研究では衛星画像にAI(人工知能)による機械学習を適用し、グリーンランド北西部における氷河上湖の分布とその変動を解析しました。その結果、湖の形成が氷の起伏や流動速度に影響され、夏の気温が高い年に湖が拡大することが判明しました。温暖化によって湖が内陸へ拡大することが示唆され、氷河氷床変動を理解する上で重要な成果となりました。
論文タイトル Supraglacial lake evolution on Tracy and Heilprin Glaciers in northwestern Greenland from 2014 to 2021
掲載誌 Remote Sensing of Environment
掲載日 2024年3月15日
著者 Yefan Wang, Shin Sugiyama
DOI https://doi.org/10.1016/j.rse.2024.114006

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偏西風の蛇行が中高緯度海洋・海氷との連動により増幅される!

森 正人
(九州大学 応用力学研究所)


テレコネクションパターンは同じ地域で繰り返し現れる大気循環変動パターンで、その地域での異常天候の発現と密接に関係していますが、パターンの形成に与える中高緯度海洋の役割は未解明でした。本研究では大規模な数値シミュレーションを実施し、中高緯度域における大気-海洋-海氷の双方向作用がテレコネクションパターンの変動(すなわち偏西風の蛇行や強化の振れ幅)を強化していることを発見し、その仕組みを解明しました。
論文タイトル Northern Hemisphere winter atmospheric teleconnections are intensified by extratropical ocean-atmosphere coupling
掲載誌 Communications Earth & Environment
掲載日 2024年3⽉15⽇
著者 Masato Mori, Yu Kosaka, Bunmei Taguchi, Hiroki Tokinaga, Hiroaki Tatebe, Hisashi Nakamura
DOI https://doi.org/10.1038/s43247-024-01282-1

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同位体モデルと精密観測によりメタンの「足あと」をたどる

ナヴィーン・チャンドラ
(海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター)


二酸化炭素に次いで温暖化への寄与が大きい温室効果ガス・メタンの放出削減のためには、その放出量の正確な把握が不可欠です。メタンの濃度と炭素同位体比を考慮したシミュレーションモデルによる過去30年の放出源別メタン放出量推定の結果、化石燃料由来のメタン漏出は、従来の報告と異なり2000年代以降大きな変動がないことが分かりました。一方で、畜産や廃棄物埋め立てに起因する微生物起源の放出は増加していました。メタン放出削減には、化石燃料だけでなく畜産や廃棄物埋め立てへの対策も重要です。
論文タイトル Methane emissions decreased in fossil fuel exploitation and sustainably increased in microbial source sectors during 1990–2020
掲載誌 Communications Earth & Environment
掲載日 2024年4月17日
著者 Naveen Chandra, Prabir K. Patra, Ryo Fujita, Lena Höglund-Isaksson, Taku Umezawa, Daisuke Goto, Shinji Morimoto, Bruce H. Vaughn, Thomas Röckmann
DOI https://doi.org/10.1038/s43247-024-01286-x

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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.8より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2024-2/ Thu, 01 Feb 2024 00:04:42 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=11603 ArCS II ニュースレター No.8では、2023年春から夏にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。 ※所属はニュースレター発行時の情報です。 北極下層雲 […]

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北極下層雲の氷粒子の形成における北極ダストの重要な役割を発見

河合 慶
(名古屋大学 大学院環境学研究科:写真左)
松井 仁志
(名古屋大学 大学院環境学研究科:写真右)


夏から秋にかけて北極の陸域から放出されるダスト(北極ダスト)は、雲の氷粒子の形成を促進する能力が非常に高いことが最近の実験研究から明らかになってきていますが、それが北極上空の雲の氷粒子の形成にどのような影響を与えるかは、よく分かっていませんでした。本研究では全球気候モデルを用いて、北極ダストが夏から秋にかけて北極域の下層雲(高度約0~3km)の氷粒子の形成において重要な役割を果たすことを発見しました。
論文タイトル Dominant role of Arctic dust with high ice nucleating ability in the Arctic lower troposphere
掲載誌 Geophysical Research Letters
掲載日 2023年4月26日
著者 Kei Kawai, Hitoshi Matsui, Yutaka Tobo
DOI https://doi.org/10.1029/2022GL102470

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植物-微生物の相互作用が北極ツンドラ土壌の細菌の多様性を形成する

ウォン シュー クアン
(国立極地研究所 北極観測センター)


北極ツンドラの土壌細菌は、多様な環境に適応する“ジェネラリスト”と、特定の環境にしか適応できない“スペシャリスト”の細菌群に大別されます。本研究により、それらの細菌群が異なる役割や関係性を示すことに加え、分布や多様性が植生の影響を強く受けることを解明しました。気候変動が北極生態系に与える影響を予測するために、植生と土壌微生物群集の相互作用や動態の理解が重要であることを示しています。
論文タイトル Vegetation as a key driver of the distribution of microbial generalists that in turn shapes the overall microbial community structure in the low Arctic tundra
掲載誌 Environmental Microbiome
掲載日 2023年5月10日
著者 Shu-Kuan Wong, Yingshun Cui, Seong-Jun Chun, Ryo Kaneko, Shota Masumoto, Ryo Kitagawa, Akira S. Mori, An Suk Lim, Masaki Uchida
DOI https://doi.org/10.1186/s40793-023-00498-6

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北極海に生息する窒素固定生物のゲノム解読に成功

塩崎 拓平
(東京大学 大気海洋研究所)


窒素固定は窒素ガスをアンモニアに変換する全球物質循環における重要なプロセスですが、それを担う微生物の情報は極めて限られています。本研究では北極海に生息する窒素固定生物のゲノム解読に成功し、その地球全体での分布と生存戦略を明らかにしました。海洋窒素固定生物には北極海固有種が存在します。海域固有種は環境変化に脆弱であることが多く、今後の北極海の変化が海域の窒素固定に影響を及ぼす可能性があります。
論文タイトル Distribution and survival strategies of endemic and cosmopolitan diazotrophs in the Arctic Ocean
掲載誌 The ISME Journal
掲載日 2023年5⽉23⽇
著者 Takuhei Shiozaki, Yosuke Nishimura, Susumu Yoshizawa, Hideto Takami, Koji Hamasaki, Amane Fujiwara, Shigeto Nishino, Naomi Harada
DOI https://doi.org/10.1038/s41396-023-01424-x

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北極海における動物プランクトン優占種の⽣態が明らかに

松野 孝平
(北海道大学 大学院水産科学研究院)


北極海で急激に進行する環境変動に対して、動物プランクトンに最も多く存在するカイアシ類1種がどのように適応し、生存しているのか調べました。その結果、同じ種であっても、摂餌や成長は海域により大きく異なっており、環境に合わせてうまく生存していることが分かりました。気候変動による海洋生態系への影響を正しく理解するためには、生物の環境変動への応答について、より研究が進むことが求められます。
論文タイトル Geographic variation in population structure and grazing features of Calanus glacialis/marshallae in the Pacific Arctic Ocean
掲載誌 Frontiers in Marine Science
掲載日 2023年9月20日
著者 Minami Ishihara, Kohei Matsuno, Koki Tokuhiro, Yasuhiro Ando, Kazutoshi Sato, Atsushi Yamaguchi
DOI https://doi.org/10.3389/fmars.2023.1168015

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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.7より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2023-8/ Tue, 01 Aug 2023 00:15:59 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=10239 ArCS II ニュースレター No.7では、2022年冬から2023年春にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。 ※所属はニュースレター発行時の情報です。 […]

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温暖化する北極海から周辺地域に運ばれる水蒸気量の増加

佐藤 友徳
(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)


海氷の縮小が進行する北極海から周囲に向かってどのように水蒸気が輸送されているのか、という素朴な疑問に答えるため、大気中の水蒸気の挙動を追跡するモデルを作り、過去約40年間の日々の輸送量を解析しました。その結果、秋から冬に北極海から蒸発した水蒸気はシベリアの内陸へと輸送されており、その量は近年増加していることが分かりました。この発見を通じて北極温暖化に関連した気候変動プロセスの理解向上が期待されます。
論文タイトル Enhanced Arctic moisture transport toward Siberia in autumn revealed by tagged moisture transport model experiment
掲載誌 npj Climate and Atmospheric Science
掲載日 2022年11月24日
著者 Tomonori Sato, Tetsu Nakamura, Yoshihiro Iijima, Tetsuya Hiyama
DOI https://doi.org/10.1038/s41612-022-00310-1

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プランクトン由来の夏のエアロゾル増加をアイスコアから検出

的場 澄人
(北海道大学 低温科学研究所)


グリーンランド氷床で最も降水量が多い南東部の観測地点SE-Domeで採取されたアイスコアの分析から、夏に海洋の植物プランクトンが放出する硫黄化合物の濃度が2002年以降に3~6倍増加したことを示しました。そして、この増加はグリーンランド東側海域での海氷融解時期の早期化が要因と結論づけました。夏の海洋プランクトンの増殖による海洋から大気への硫黄化合物の放出量が実際に増加している観測的証拠を初めて示しました。
論文タイトル Increased oceanic dimethyl sulfide emissions in areas of sea ice retreat inferred from a Greenland ice core
掲載誌 Communications Earth & Environment
掲載日 2022年12月26日
著者 Yutaka Kurosaki, Sumito Matoba, Yoshinori Iizuka, Koji Fujita, Rigen Shimada
DOI https://doi.org/10.1038/s43247-022-00661-w

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氷河で繁殖する藻類に⾼い感染率でツボカビが寄⽣

小林 綺乃
(千葉大学 大学院融合理工学府)


氷河上では、雪氷藻類の繁殖による氷河の暗色化が、氷河の融解を加速する一つの要因となっています。この藻類に寄生し暗色化を抑える可能性をもつのが、ツボカビという菌類です。本研究は、藻類に⾼い感染率でツボカビが寄⽣していることを初めて明らかにし、氷河性ツボカビの実態解明の第一歩となる成果を得ることができました。今後は、このツボカビが氷河融解の抑制にどの程度寄与しているのか、その定量評価が必要です。
論文タイトル High prevalence of parasitic chytrids infection of glacier algae in cryoconite holes in Alaska
掲載誌 Scientific Reports
掲載日 2023年3⽉9⽇
著者 Kino Kobayashi, Nozomu Takeuchi, Maiko Kagami
DOI https://doi.org/10.1038/s41598-023-30721-w

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ウクライナ侵攻と北極国際協力のゆくえ:ロシアとの協力継続は?

柴田 明穂
(神戸大学 極域協力研究センター)


ロシアによるウクライナ侵攻は、その終結を見通せない状況が続いています。ウクライナ侵攻後の北極域に関するロシアとの政府間協力が、いかなる国際法制度の下で継続できているのかを調査検討し、将来の見通しをまとめた国際共著論文をPolar Record誌に発表しました。2023年5月に北極評議会の議長国が無事ロシアからノルウェーにバトンタッチされましたが、ロシアを含む北極国際協力のゆくえは、まだまだ不透明です。研究を続けます。
論文タイトル After Russia’s invasion of Ukraine in 2022: Can we still cooperate with Russia in the Arctic?
掲載誌 Polar Record
掲載日 2023年3月17日
著者 Timo Koivurova, Akiho Shibata
DOI https://doi.org/10.1017/S0032247423000049

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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.6より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2023-2/ Mon, 06 Feb 2023 04:23:49 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=9102 ArCS II ニュースレター No.6では、2022年春から秋にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。 ※所属はニュースレター発行時の情報です。 多様な植物 […]

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多様な植物が共存できる理由は? 緯度に沿ったパターンを発見

西澤 啓太
(東京大学 先端科学技術研究センター)


地域や環境が変われば違う植物が見られ(日本と北極など)、その理由は容易に想像できます。一方で、現実では同地域、同環境でも多様な植物が共存しています。この同所的な多種共存をもたらす要因(種間関係や散布制限など)は地域によって異なり、一般則は得られていませんでした。今回、世界中の研究を収集、統合解析することで、この局所的な多種共存をもたらす要因が緯度とともに変化することを世界で初めて明らかにしました。
論文タイトル The latitudinal gradient in plant community assembly processes : A meta-analysis
掲載誌 Ecology Letters
掲載日 2022年5月26日
著者 Keita Nishizawa, Naoto Shinohara, Marc W. Cadotte, Akira S. Mori
DOI https://doi.org/10.1111/ele.14019

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隕石由来の物質を電子顕微鏡分析によってエアロゾル粒子から検出

足立 光司
(気象庁 気象研究所 全球大気海洋研究部)


隕石は北極を含む地球上のあらゆる場所に落ちてきます。多くは途中で燃え尽き、微細なチリとして成層圏などの上空に漂いますが、その実態はよく分かっていませんでした。本研究では飛行機観測によってエアロゾルを採取し、隕石に特徴的な鉄やマグネシウムといった元素が硫酸塩に溶けている粒子を電子顕微鏡分析で見つけました。今回の研究結果は、地球外物質が地球気候に与える影響を考える上で重要なカギになると考えられます。
論文タイトル Meteoritic materials within sulfate aerosol particles in the troposphere are detected with transmission electron microscopy
掲載誌 Communications earth & environment
掲載日 2022年6月16日
著者 Kouji Adachi, Naga Oshima, Nobuyuki Takegawa, Nobuhiro Moteki, Makoto Koike
DOI https://doi.org/10.1038/s43247-022-00469-8

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北極海海底で起こる植物プランクトンブルームの発見

塩崎 拓平
(東京大学 大気海洋研究所:写真左)

藤原 周
(海洋研究開発機構 北極環境変動総合研究センター:写真右)


植物プランクトンは海洋における主要な基礎生産者であり、海洋生態系を支えています。植物プランクトンの生産は一般に表面で最も高くなるため、人工衛星による全球規模での観測が続けられています。私たちは北極海陸だな域海底で起こる“隠れた”植物プランクトンブルームを発見しました。この現象を考慮すると、北極海ではこれまで推定されていたより基礎生産量(二酸化炭素固定量)が多い可能性があります。
論文タイトル Bottom-associated phytoplankton bloom and its expansion in the Arctic Ocean
掲載誌 Global Change Biology
掲載日 2022年9月27日
著者 Takuhei Shiozaki, Amane Fujiwara, Koji Sugie, Shigeto Nishino, Akiko Makabe, Naomi Harada
DOI https://doi.org/10.1111/gcb.16421

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チュクチ海に浮遊・流入するマイクロプラスチック量を初めて推定

池上 隆仁
(海洋研究開発機構 地球環境部門)


北極海の入り口に位置するチュクチ海でのマイクロプラスチック(MPs)の動態把握は、喫緊の課題でした。私たちは、チュクチ海に浮遊するMPs量および太平洋から当該海域に流入するMPs量を観測データから初めて推定しました。その結果、太平洋から流入したMPsの大部分はチュクチ海の海水中ではなく、海氷や海底堆積物、あるいは太平洋起源水の下流域に蓄積していることが示唆されました。今後も調査を推し進め、政策提言に資する知見の蓄積に貢献していきます。
論文タイトル Horizontal distribution of surface microplastic concentrations and water-column microplastic inventories in the Chukchi Sea, western Arctic Ocean
掲載誌 Science of the Total Environment
掲載日 2022年11月1日
著者 Takahito Ikenoue, Ryota Nakajima, Amane Fujiwara, Jonaotaro Onodera, Motoyo Itoh, Junko Toyoshima, Eiji Watanabe, Akihiko Murata, Shigeto Nishino, Takashi Kikuchi
DOI https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2022.159564

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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.5より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2022-8/ Thu, 04 Aug 2022 05:18:35 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=7334 ArCS II ニュースレターNo.5では、2021年冬から2022年春にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。 ※所属はニュースレター発行時の情報です。 市 […]

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ArCS II ニュースレターNo.5では、2021年冬から2022年春にかけて発表された論文の著者に、研究内容や研究に対する思い、これからの展望などを語っていただきました。
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市販のドローンで高精度の気象観測は実現するのか?

猪上 淳
(国立極地研究所 気水圏研究グループ)


一昔前の無人小型固定翼機の気象観測には、専門の操縦者を配置するための高額な予算が必要でした。今は小型ドローンなら安く入手でき、簡単に操縦できる時代。ドローンで既存の気象観測ネットワークを拡充させれば、高精度の天気予報が実現するのではないか? そのような思いから、ドローンによる気象観測の誤差にこだわった室内・野外実験を行いました。適切な設定を施せばラジオゾンデ並みの観測精度が得られることを実証しました。
論文タイトル Toward sustainable meteorological profiling in polar regions: Case studies using an inexpensive UAS on measuring lower boundary layers with quality of radiosondes
掲載誌 Environmental Research
掲載日 2021年12月2日
著者 Jun Inoue, Kazutoshi Sato
DOI https://doi.org/10.1016/j.envres.2021.112468

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赤雪現象の全球シミュレーションに世界初成功!

大沼 友貴彦
(東京大学 生産技術研究所)


近年、世界各地の氷河や高山地域で雪氷微生物の繁殖による彩色(赤雪)現象が発生しています。今回従来のモデルを改良し、全球での赤雪発生シミュレーションに世界で初めて成功しました。赤雪の発生時期は融雪期間の長さと降雪頻度に主に依存しており、雪氷微生物の繁殖活動が気候変動下で敏感に影響を受けていることが示唆されました。今後は開発したモデルを使って、この微生物活動がもたらす気候変動への影響を過去から将来にかけて定量的に評価できるようになると期待しています。
論文タイトル Global Simulation of Snow Algal Blooming by Coupling a Land Surface and Newly Developed Snow Algae Models
掲載誌 Journal of Geophysical Research: Biogeosciences
掲載日 2022年2月2日
著者 Yukihiko Onuma, Kei Yoshimura, Nozomu Takeuchi
DOI https://doi.org/10.1029/2021JG006339

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西暦3000年までのグリーンランド氷床の変動を予測

グレーべ・ラルフ
(北海道大学 低温科学研究所)


南極大陸とグリーンランドの氷床は将来の海面上昇の最大の要因と考えられており、その予測にコンピュータ・シミュレーションが重要な役割を果たしています。私たちは西暦2100年以降温暖化の傾向に変化がないとの仮定のもと、氷床モデルSICOPOLISを用いて西暦3000年までのシミュレーションを行いました。その結果、効果的な気候変動緩和策が取られない限り、21世紀の気候変動はその後何世紀にもわたってグリーンランド氷床に影響を与え続け、最大3.5mという海面上昇を引き起こす可能性が示されました。
論文タイトル Mass loss of the Greenland ice sheet until the year 3000 under a sustained late-21st-century climate
掲載誌 Journal of Glaciology
掲載日 2022年3月14日
著者 Ralf Greve, Christopher Chambers
DOI https://doi.org/10.1017/jog.2022.9

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画像分類AIを用いて潜在植生を予測する新手法を開発

佐藤 永
(海洋研究開発機構 地球環境部門)


どのような気候にどのような潜在植生が出現するかという問題は、古典的な生物地理学のテーマで、これまで多くの手法が提案されてきました。この古いテーマに、私たちは画像分類AIという新しい技術を適用することで、従来よりも簡便かつ高精度に潜在植生を推定できる手法を開発しました。またこの手法を用いて、ツンドラや亜寒帯林の高緯度・高標高側への分布シフトといった、21世紀末における植生変化を予測しました。
論文タイトル Predicting global terrestrial biomes with the LeNet convolutional neural network
掲載誌 Geoscientific Model Development
掲載日 2022年4月18日
著者 Hisashi Sato, Takeshi Ise
DOI https://doi.org/10.5194/gmd-15-3121-2022

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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.4より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2021-3/ Fri, 25 Feb 2022 04:55:23 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=5767 ArCS II ニュースレターNo.4では、2021年秋から冬にかけて発表されたプレスリリースの著者に、研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話などを語っていただきました。内容は、極端気象をもたらす寒冷渦の予測 […]

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ArCS II ニュースレターNo.4では、2021年秋から冬にかけて発表されたプレスリリースの著者に、研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話などを語っていただきました。内容は、極端気象をもたらす寒冷渦の予測、サハ共和国における資源開発の影響、森林火災によるブラックカーボンの発生についてなど、多岐に渡ります。
※所属はニュースレター発行時の情報です。

極端気象をもたらす「寒冷渦」を捉える新指標を開発!

春日 悟
(三重大学大学院 生物資源学研究科
 ※論文発表時 新潟大学大学院 自然科学研究科)


寒冷渦とは対流圏上層で発生する低気圧で、それが上空を通過すると悪天や突風を伴うことがあります。この上層寒気の起源は極域にあり、寒冷渦は極域大気の変動と私たちの生活圏の天気とのつながりを理解する上で重要な現象と言えます。一方、地表の低気圧と異なり、寒冷渦は基準高度がなくサイズの大小幅も大きいので、その強度の統一的な評価には困難がありました。本研究では寒冷渦に伴う気圧面の凹み方を幾何学的に考察し、強度のほか、サイズをはじめ多角的な情報を得られる利便性の高い指標を開発しました。投稿論文は指導教員や共著者のご協力のたまものです。今後は、この指標を活かし寒冷渦を含む極域気象の解明へ貢献していきたいです。
論文タイトル Seamless Detection of Cutoff Lows and Preexisting Troughs
掲載誌 Monthly Weather Review
掲載日 2021年9月2日
著者 Kasuga, S., Honda, M., Ukita, J., Yamane, S., Kawase, H., and Yamazaki, A.
DOI https://doi.org/10.1175/MWR-D-20-0255.1

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COL(寒冷渦)マップ(新潟大学)

資源開発が北極域経済にもたらす影響の解明、ロシア連邦サハ共和国の事例

田畑 伸一郎
(北海道大学 スラブ・ユーラシア研究センター)


地球温暖化による北極海の海氷減少を背景に、北極域では石油・ガスなどの資源開発が精力的に進められています。このような資源開発が北極域の経済や社会にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的として、ロシア連邦サハ共和国を事例とする統計分析を行いました。サハ共和国全体としてのデータだけでなく、住民の生活により密着した同共和国を構成する36の地方自治体のデータも初めて本格的に分析しました。そしてサハ共和国では、シェアがロシアの8割を占めるダイヤモンドと生産増加の著しい石油が、経済成長や財政収入に大きく貢献していることを明らかにしました。これらの資源開発が住民の生活に及ぼすネガティブな影響についても、今後さらに深く研究を進める予定です。
論文タイトル The Contribution of Natural Resource Producing Sectors to the Economic Development of the Sakha Republic
掲載誌 Sustainability
掲載日 2021年9月10日
著者 Tabata, S.
DOI https://doi.org/10.3390/su131810142

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森林火災が北極大気を加熱する黒色炭素粒子の重要な発生源であることを実証

大畑 祥
(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)


急速に温暖化が進行する北極域において、黒色炭素エアロゾル(BC)の動態把握と気候影響の定量的な理解が求められています。本研究では、航空機を用いた国際共同観測により、北極域の春季のBCの鉛直積算量の年々変動が、中緯度の森林火災の発生数の変動とおおむね一致することを明らかにしました。また、数値モデルによるシミュレーションと観測の比較から、これまで想定されていた森林火災によるBCの排出量は、大幅に過小評価されている可能性が示されました。地球温暖化が進むにつれ、さまざまな地域で森林火災の発生頻度や規模が増大する可能性があります。森林火災によるBCの排出量の将来的な変化が、北極域のBCの存在量や放射強制力に強く影響すると考えられ、今後も継続的な観測と数値モデルの改良に貢献していきたいと考えています。
論文タイトル Arctic black carbon during PAMARCMiP 2018 and previous aircraft experiments in spring
掲載誌 Atmospheric Chemistry and Physics
掲載日 2021年11月4日
著者 Ohata, S., Koike, M., Yoshida, A., Moteki, N., Adachi, K., Oshima, N., Matsui, H., Eppers, O., Bozem, H., Zanatta, M., and Herber, A. B.
DOI https://doi.org/10.5194/acp-21-15861-2021

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— ArCS IIニュースレターNo.4より —
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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.3より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2021-2/ Tue, 21 Dec 2021 04:13:00 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=5153 ArCS II ニュースレターNo.3では、2021年夏から秋にかけて発表されたプレスリリースの著者に、研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話などを語っていただきました。内容は、アイスコアダストの起源、氷河末 […]

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— ArCS IIニュースレターNo.3より —
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ArCS II ニュースレターNo.3では、2021年夏から秋にかけて発表されたプレスリリースの著者に、研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話などを語っていただきました。内容は、アイスコアダストの起源、氷河末端で起こる氷河流動、陸域生態系についての国際的なデータ解析についてなど、多岐に渡ります。
※所属はニュースレター発行時の情報です。

グリーンランド氷床に飛来するダストの起源、過去100年の変化が明らかに

永塚 尚子
(国立極地研究所 気水圏研究グループ)


グリーンランドには10年近く調査に赴き、氷床上に飛来する鉱物ダストの起源解明に取り組んできました。しかし、間氷期のアイスコア中のダストに関しては低濃度のために分析が難しく、長年の課題となっていました。今回、電子顕微鏡を用いた分析によって、グリーンランドのアイスコアダストの起源について過去100年の変動を明らかにすることに初めて成功しました。間氷期のアイスコアダストの起源の変化を知ることは、北極域の近年の環境変動に対する温暖化の影響を評価するために不可欠な情報であったので、今回その一端を解明することができ、感無量です。本研究で得られた新たな知見をもとに、今後のグリーンランドの環境変動予測に貢献していきたいです。
論文タイトル Variations in mineralogy of dust in an ice core obtained from northwestern Greenland over the past 100 years
掲載誌 Climate of the Past
掲載日 2021年6月21日
著者 Nagatsuka, N., Goto-Azuma, K., Tsushima, A., Fujita, K., Matoba, S., Onuma, Y., Dallmayr R., Kadota, M., Hirabayashi M., Ogata J., Ogawa-Tsukagawa Y., Kitamura K., Minowa, M., Komuro, Y., Motoyama, H., Aoki, T.
DOI https://doi.org/10.5194/cp-17-1341-2021

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世界初! 海底地震計を使い、氷河流動の検出に成功

エヴゲニ・ポドリスキ
(北海道大学 北極域研究センター)


グリーンランドの急速な環境変化を理解するためには、氷河の末端近くでの観測が不可欠です。本研究では、海域の地震観測のために使われている海底地震計をグリーンランド氷河末端近くの海底に設置しました。海底で観測することによって、氷の破壊や強風の影響を受ける地球上で最も騒がしく過酷な環境を回避でき、地震波ノイズの中に埋もれた微動の検出に成功しました。その微動は20年ほど前に日本で発見された断層がゆっくりと運動するスロー地震で生じるものに似ており、氷河が滑るときに生じていたことが明らかになりました。今回の研究の経緯はNature Podcastに掲載されており、私たちの観測機器に記録された海中音を聞くことができます。今後は、氷河末端近くの海底で長期的な観測を行いたいと考えています。
論文タイトル Ocean-bottom and surface seismometers reveal continuous glacial tremor and slip
掲載誌 Nature Communications
掲載日 2021年6月24日
著者 Podolskiy, E. A., Murai, Y., Kanna, N., Sugiyama, S.
DOI https://doi.org/10.1038/s41467-021-24142-4

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陸域生態系のもつさまざまな機能が3つの包括的機能で説明できることを解明

小林 秀樹
(海洋研究開発機構 地球環境部門)


今回の研究は、欧米の研究者が中心となった国際的なデータ解析による成果です。2010年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)とアラスカ大学の共同研究に始まり、ArCSそしてArCS IIと10年規模で継続しているアラスカ国際観測拠点での現地観測や、観測データの速やかなオープンデータ化が実を結んだものでもあります。今後はこのような国際共同研究による総合的な成果創出がますます重要になると思います。これからは国際的な共同研究にさらに主体的に参加して成果を出していきたいと思います。
論文タイトル The three major axes of terrestrial ecosystem function
掲載誌 Nature
掲載日 2021年9月22日
著者 Migliavacca, M., Musavi, T., Mahecha, M. D., Nelson, J. A., Knauer, J., Baldocchi, D. D., Perez-Priego, O., Christiansen, R., Peters, J., Anderson, K., Bahn, M., Black, T. A., Blanken, P. D., Bonal, D., Buchmann, N., Caldararu, S., Carrara, A., Carvalhais, N., Cescatti, A., Chen, J., Cleverly, J., Cremonese, E., Desai, A. R., El-Madany, T. S., Farella, M. M., Fernández-Martínez, M., Filippa, G., Forkel, M., Galvagno, M., Gomarasca, U., Gough, C. M., Göckede, M., Ibrom, A., Ikawa, H., Janssens, I. A., Jung, M., Kattge, J., Keenan, T. F., Knohl, A., Kobayashi, H., Kraemer, G., Law, B. E., Liddell, M. J., Ma, X., Mammarella, I., Martini, D., Macfarlane, C., Matteucci, G., Montagnani, L., Pabon-Moreno, D. E., Panigada, C., Papale, D., Pendall, E., Penuelas, J., Phillips, R. P., Reich, P. B., Rossini, M., Rotenberg, E., Scott, R. L., Stahl, C., Weber, U., Wohlfahrt, G., Wolf, S., Wright, I. J., Yakir, D., Zaehle, S., Reichstein, M.
DOI https://doi.org/10.1038/s41586-021-03939-9

プレスリリース詳細(英語)はこちら

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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.2より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2021-1/ Tue, 27 Jul 2021 08:06:42 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=3024 ArCS II ニュースレター No.2では、2021年春に発表されたプレスリリースの著者に、研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話などを語っていただきました。内容は、海洋の生物多様性、コロナ禍の地球温暖化へ […]

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ArCS II ニュースレター No.2では、2021年春に発表されたプレスリリースの著者に、研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話などを語っていただきました。内容は、海洋の生物多様性、コロナ禍の地球温暖化への影響、大気エアロゾルの動態、熱波と森林火災の関係性についてなど、多岐に渡ります。
※所属はニュースレター発行時の情報です。

ベーリング海における海洋生物多様性の退避海域の発見

アラビア・アイリーン・ドロルフイーノ
(北海道大学 北極域研究センター)


漁業は海洋の豊かな生物多様性に支えられており、その時空間的な分布や成立の要因を理解することは、漁業資源の保全と管理に不可欠です。私たちは、東ベーリング海に高い生物多様性を示す海洋生物の退避海域が存在し、そこが過去30年間の気候変動の影響から比較的守られていることを発見しました。気候変動に耐え得る海洋生態系と持続可能な漁業を維持するためには、海洋生物が気候変動に耐え得る海域の特定とその管理が非常に重要です。
論文タイトル Marine biodiversity refugia in a climate-sensitive subarctic shelf
掲載誌 Global Change Biology
掲載日 2021年4月25日
著者 Irene D. Alabia, Jorge Garcia Molinos, Takafumi Hirata, Franz J. Mueter, Toru Hirawake, ,Sei-Ichi Saitoh
DOI https://doi.org/10.1111/gcb.15632

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コロナ禍による人為起源物質の排出量の減少が気候に及ぼす影響

大島 長
(気象庁 気象研究所)


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う世界各地でのロックダウンなどにより、人為起源物質の排出量は世界的に減少しましたが、地上気温や降水量への有意な影響は検出できないことが分かりました。緊急時に世界の研究者が迅速に協力し、国際研究チームによるモデル相互比較計画を立ち上げ、信頼性が高い推定を数カ月で実施できたことにも大きな意義があります(通常は数年間かかります)。今後もこのような国際的な枠組みを活かした研究を継続することが大事だと思います。
論文タイトル The Climate Response to Emissions Reductions Due to COVID-19: Initial Results From CovidMIP
掲載誌 Geophysical Research Letters
掲載日 2021年4月29日
著者 Chris D. Jones, Jonathan E. Hickman, Steven T. Rumbold, Jeremy Walton, Robin D. Lamboll, Ragnhild B. Skeie, Stephanie Fiedler, Piers M. Forster, Joeri Rogelj, Manabu Abe, Michael Botzet, Katherine Calvin, Christophe Cassou, Jason N.S. Cole, Paolo Davini, Makoto Deushi, Martin Dix, John C. Fyfe, Nathan P. Gillett, Tatiana Ilyina, Michio Kawamiya, Maxwell Kelley, Slava Kharin, Tsuyoshi Koshiro, Hongmei Li, Chloe Mackallah, Wolfgang A. Müller, Pierre Nabat, Twan van Noije, Paul Nolan, Rumi Ohgaito, Dirk Olivié, Naga Oshima, Jose Parodi, Thomas J. Reerink, Lili Ren, Anastasia Romanou, Roland Séférian, Yongming Tang, Claudia Timmreck, Jerry Tjiputra, Etienne Tourigny, Kostas Tsigaridis, Hailong Wang, Mingxuan Wu, Klaus Wyser, Shuting Yang,Yang Yang,Tilo Ziehn
DOI https://doi.org/10.1029/2020GL091883

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アイスコア記録から硫酸エアロゾル減少が鈍化する要因を特定

服部 祥平
(東京工業大学 物質理工学院応用化学系)


グリーンランドSE-Domeのアイスコアから、過去の大気中の硫酸エアロゾルの生成過程を復元しました。その結果、1980年以降の二酸化硫黄(SO2)排出規制にもかかわらず硫酸エアロゾル減少が鈍化している要因が特定できました。地球化学の王道スタイル“良い試料と良い化学分析の組み合わせ”により、新しい知見を創出できました。初期原稿から2年がかかりましたが、粘りの結果がカタチになってよかったです。
論文タイトル Isotopic evidence for acidity-driven enhancement of sulfate formation after SO2 emission control
掲載誌 Science Advances
掲載日 2021年5月5日
著者 Shohei Hattori, Yoshinori Iizuka, Becky Alexander, Sakiko Ishino, Koji Fujita, Shuting Zhai, Tomás Sherwen, Naga Oshima, Ryu Uemura, Akinori Yamada, Nozomi Suzuki, Sumito Matoba, Asuka Tsuruta, Joel Savarino, Naohiro Yoshida
DOI https://doi.org/10.1126/sciadv.abd4610

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いくつかの偶然がもたらした近年夏季特有の熱波・森林火災同時誘発に関する気候パターンの発見!

安成 哲平
(北海道大学 北極域研究センター)


近年北半球では、夏季の熱波や森林火災の話題を頻繁に耳にします。熱波・森林火災が同時に起これば、高温や大気汚染の観点から人への健康影響が懸念されます。この同時誘発が起こり得る気候(大気循環)パターンの発見と論文化は、いくつかの偶然が重なり達成されました。私たちの研究チームに参加している研究者同士のとある国際学会での雑談的な議論から始まり、個々の研究者による解析結果の偶然が重なり、この気候パターンの発見と近年の特徴まで明らかとなりました。学会の雑談と共同研究の素晴らしさを最大限に感じる研究となりました。今後、この気候パターンの発生メカニズムや温暖化に伴う変動を解き明かすことが、熱波・森林火災同時発生予測の観点から重要と考えています。
論文タイトル Relationship between circum-Arctic atmospheric wave patterns and large-scale wildfires in boreal summer
掲載誌 Environmental Research Letters
掲載日 2021年5月17日
著者 Teppei J Yasunari, Hisashi Nakamura, Kyu-Myong Kim, Nakbin Choi, Myong-In Lee, Yoshihiro Tachibana, Arlindo M da Silva
DOI https://doi.org/10.1088/1748-9326/abf7ef

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プレスリリース 著者からのメッセージ— ArCS IIニュースレターNo.1より — https://www.nipr.ac.jp/arcs2/project-report/investigators-comment-2020/ Tue, 18 May 2021 05:44:42 +0000 https://www.nipr.ac.jp/arcs2/?post_type=project_report&p=2282 ArCS II ニュースレター No.1では「北極域研究の最前線」として、プレスリリースに関して研究者からのコメントを掲載しました。研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話など、短いコメントの中にも研究への情熱 […]

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ArCS II ニュースレター No.1では「北極域研究の最前線」として、プレスリリースに関して研究者からのコメントを掲載しました。研究にかけるご自身の思いやこれからの展望、こぼれ話など、短いコメントの中にも研究への情熱が感じられます。
※所属はニュースレター発行時の情報です。

北極海の冷水の起源はシベリアにあった!

川口 悠介
(東京大学 大気海洋研究所)


今回、シベリアとアラスカの間の狭い海峡部(アナディル海峡)が北極海に流入する熱量をコントロールするという事実を発見しました。この調査は、日本の「みらい」とロシアの「マルタノフスキー号」という二つの船を用いて実現したものです。北極研究において、シベリア圏などロシア領域に関係する未解決な課題はたくさんあります。ロシアとの友好な協力関係の中で、これらの謎を解き明かしていくことが、日本が世界から求められている役割と感じています。
論文タイトル Cold Water Upwelling near the Anadyr Strait: Observations and Simulations
掲載誌 Journal of Geophysical Research – Oceans
掲載日 2020年9月17日
著者 Yusuke Kawaguchi, Jun Nishioka, Shigeto Nishino, Shinzou Fujio, Keunjong Lee, Amane Fujiwara, Daigo Yanagimoto, Humio Mitsudera, Ichiro Yasuda
DOI https://doi.org/10.1029/2020JC016238

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氷河のポンプがフィヨルドの豊かな海洋生態系を支える

漢那直也
(東京大学 東京大学 大気海洋研究所)


海水が湧き上がる氷河の末端近くにはアザラシが集まってきます。また、たくさんの海鳥が氷河の末端を周回し、海中の餌に目を光らせています。海の表層で植物プランクトンが行う基礎生産は、フィヨルドの食物連鎖の出発点に当たります。氷河の融解がきっかけで、海水が湧き上がるというユニークな仕組みが、その基礎生産を支えています。本研究により氷河の新しい魅力を発見することができました。
論文タイトル Iron supply by subglacial discharge into a fjord near the front of a marine-terminating glacier in northwestern Greenland
掲載誌 Global Biogeochemical Cycles
掲載日 2020年9月28日
著者 Naoya Kanna, Shin Sugiyama, Yasushi Fukamachi, Daiki Nomura, Jun Nishioka
DOI https://doi.org/10.1029/2020GB006567

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北極海へ流入する暖かい河川水が北極海の海氷減少と気温上昇に影響する

朴 昊澤
(海洋研究開発機構 地球環境部門)


北極河川が冬季に結氷して春に融解する、そのプロセスが河川流出に及ぼす影響を評価する研究を進める中、海氷に対する河川水熱の影響に関するアイデアを得ました。そこから海洋、陸、大気の研究者と議論し、論文になるまで5年かかりました。まさにArCS IIプロジェクトが取り組んでいる異分野融合研究の成果と言えます。温暖化の進行によって永久凍土から河川を通して北極海に流入する有機物の増加による海洋酸性化の促進が予想されるため、今後それを明らかにしていきたいです。
論文タイトル Increasing riverine heat influx triggers Arctic sea-ice decline and oceanic and atmospheric warming
掲載誌 Science Advances
掲載日 2020年11月7日
著者 Hotaek Park, Eiji Watanabe, Youngwook Kim, Igor Polyakov, Kazuhiro Oshima, Xiangdong Zhang, John S. Kimball, Daqing Yang
DOI https://doi.org/10.1126/sciadv.abc4699

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太平洋側北極海の昇温と結氷遅延メカニズムの一端を解明

小平 翼
(東京大学大学院 新領域創成科学研究科)


私は2019年に初めて北極航海に参加させていただきました。北極は、想像していたほど寒くはありませんでしたが、想像以上にダイナミックな場所でした。特に氷縁域と呼ばれる場所が印象的で、雪や風、海面の波、海氷、それぞれが時々刻々と異なる様子を見せていて、それらを観察・記録する時間は非常に濃密でぜいたくな時間だったように思います。観測で得られた非常に貴重なデータをもとに、新たな知見や手法の構築に挑戦します。
論文タイトル Record high Pacific Arctic seawater temperatures and delayed sea ice advance in response to episodic atmospheric blocking
掲載誌 Scientific Reports
掲載日 2020年11月27日
著者 Tsubasa Kodaira, Takuji Waseda, Takehiko Nose, Jun Inoue
DOI https://doi.org/10.1038/s41598-020-77488-y

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