最新の昭和基地情報をお届けする「昭和基地NOW!!」野外調査隊はどこ?進め!しらせトピックス
















1998年3月25日の16時30分に気象庁から、地震情報が発表されましたので、テレビなどの報道でご存じの方も多いと思います。気象庁地震火山部の発表の内容は、次のとおりです。「きょう25日12時26分ころ地震がありました。震源地は、南極付近(南緯63.5度、東経150.6度)で、震源の深さは約30km、地震の規模(マグニチュード)は7.9と推定されます。震源は、米国地質調査所国立地震情報センター(USGS、NEIC)による。この地震による日本への津波の影響はありません。なお、詳細な震源地は、バレニー諸島北西沖と推定されます。」
南極周辺の地震分布(黒点)と今回の地震の震源地(X印)
 
 その後の米国地質調査所の発表で、地震の起きた時間は、03時12分30 秒(世界標準時)と分かりました。昭和基地では、同日06時20分(現地時間)ころから4時間ほど地震計が顕著な揺れを記録したのみで、人が感ずるこ とはありませんでした。震源地から670km離れたデュモン・デュ ルビル基地(仏)は、一番近い南極の基地であり、すべての隊員が揺れ を感じたそうです。棚の物が揺れで床に落ちたそうですから、震度3程度の揺れということができます。

地震計の保守点検(昭和基地の地震計室)
 これまで南極の有感地震は、1967年12年4日のデセプション島や1984年10月13日のエレバス火山などが知られています。しかし、これまでの2例は火山噴火に伴う地震でしたが、今回の地震は安定した南極プレート内で起きたものです。この地震による津波は観測データから、発生したとしても小さいなものであったと考えられます。もし、津波が発生しても南極大陸は海氷で囲まれていますので、この海氷により津波がかなり減衰されてしまい、影響は少なく、昭和基地の検潮儀でも記録されておりません。 今後、観測データを解析することにより、氷に覆われている南極大陸の地下構造殻を解明するなど地球物理学的に貴重な情報が得られます。
 
 
昭和基地NOW!! | 野外調査隊はどこ? | 進め!しらせ | トピックス

Copyright(C)1997-2014 National Institute of Polar Research