8月17日朝、雪上車3台に分乗した第46次南極地域観測越冬隊(*1)の6名が南極大陸の輸送中継拠点に向けて昭和基地を出発した。これは南極大陸ドームふじ基地(*2)で12月から再開する氷床掘削研究プロジェクトの準備として、燃料を輸送するためのもの。この旅行の途中で観測、燃料ドラム缶設置をしながら、往復1300km余りを40日間で走破する予定だ。南極大陸上陸後、SM100S型大型雪上車3台に乗り換え、それぞれドラム缶入燃料が12本積めるソリ7台ずつをひいてドームふじ基地までの距離の約三分の二にあたる中継拠点を目指す。現地では太陽が出るようになったが、例年だと年最低気温はこれから。昨年は同時期に同様の内陸旅行が行なわれ、旅行中マイナス60度を記録し、強風にさらされる外作業では凍傷にもなりかねない厳しい状況だ。
南極昭和基地では太陽が昇らぬ極夜期が明け、野外活動が盛んになっている。基地から数十キロメートルの場所にある沿岸露岩周辺での調査のため、海氷上に旗竿を立ててルートを作る作業も行なわれている。今回の内陸旅行隊が帰ってくると、10月下旬にはドームふじ基地への旅行が計画され、空路南極入りする47次隊と共同作業で深さ約3000メートルの岩盤までの、100万年前と推定される氷を採取する予定。これにより世界で初めて過去100万年前までの地球の大気組成を保存した氷柱サンプルが採取でき、地球規模環境変化の貴重な分析試料が得られる見込みだ。
(*1)昨年11月28日に夏隊とともに成田空港を出発し、本年2月1日に前の45次隊と越冬を交代して現在37名が越冬観測を続けている。本年11月14日に晴海を出港する「しらせ」で昭和基地を離れ、来年3月28日に成田へ帰国の予定。
(*2)昭和基地から南に約1000キロメートルの地点にある日本の南極観測基地。標高3810メートルの南極大陸氷床上にあり、2年前から岩盤までの3000メートル余りの氷柱採取を目指して毎年夏期に掘削を実施している。
|