ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

米国沿岸警備隊砕氷船Healyによるチャクチ海海洋観測①

2016年7月2日〜8月10日にかけて、米国沿岸警備隊所属の砕氷船Healy(ヒーリー)号の北極海海洋観測航海に乗船しました。

この調査はチャクチ海の海氷域の特に深海域にスポットを当てた航海で、物理、化学、生物およびメディアなど総勢42名の乗船者を迎えて行われました。首席調査員は米国アラスカ大学フェアバンクス校のRussell R. Hopcroft教授です。

Healy号の船籍はシアトルにあり、今回はアラスカ州スワードまで廻航して、スワードでの上下船となりました。スワードはアンカレッジの南に位置する港町で、アラスカシーライフセンターという一般向けの水族館施設やアラスカ大の研究施設があることで有名です。またケナイフィヨルドでの氷河観光の船も出ています。Healy号は7月2日にスワードを出港後、ベーリング海に入りました。その後ベーリング海峡を越えて、北極海のチャクチ海に入りました。調査海域まで1週間弱がかかります。チャクチ海では昨冬に凍った一年氷が眼下を覆い、ホッキョクグマやクラカケアザラシ、セイウチなどの野生動物を間近に見ることができました。

Healy号には、様々な業務に対応するためヘリポートも装備されています。今回の航海でもアラスカコディアック島の飛行場から飛んできたヘリコプターの着艦訓練をしていました。また乗組員に急病人が出たこともあり、ヘリコプターにてバローに送っていました。次号のレポートでは、私が船上で行っている調査内容の紹介をしたいと思います。

※この記事は2016年8月31日に内容を変更しました。

山口 篤/北海道大学・水産科学研究院(テーマ6実施担当者)

スワード入港中のヒーリー

野生動物とヘリコプター